たりたの日記
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2013年01月28日(月) 南相馬へ


朝7時50分、石巻ベースのスタッフの方々に別れを告げ、南相馬へ石巻から南相馬市へ。石巻〜子午田〜仙台〜亘理〜相馬〜原ノ町と5回の乗り換えで4時間半、亘理から相馬までは常磐線の代行バスとなる。今回の旅の中では最も移動に時間がかかり、乗り継ぎが不安でもあったが、のんびりした在来線で車窓を楽しみながらの移動は新幹線では味わえない旅の面白さがあり、疲れることもなく、12時43分、原ノ町駅に着く。駅にはふうこさんとちかこさんが出迎えてくださった。お二人には12月15日の「ミシュカの森」のイベント、末盛千枝子さんの講演会で初めてお会いしてからの再会。あの時、南相馬をお訪ねしたいと話したことがこうして実現したことがまずはうれしかった。

絵本を作り、さまざまなアートプロジェクトで子ども達を支援しているふうこさんと自宅で文庫を開き、幼児と若いお母さん方を、また小学校や学童保育室で子ども達を支援していらっしゃるちかこさん。そんなお二人の活動にコラボさせていただく。

まずは南相馬市の火力発電所をひかえる浜辺へ。美しいとしか言いようのない浜辺、穏やかで人を癒すような豊かな海。この同じ海が牙を剥き、人々を動物を家を田畑を車を連れ去り、また押し返したことが信じられない。この浜辺からずいぶん離れた道路の上に船が打ち上げられていたと聞けば、その広範囲に及ぶ津波をようやく想像することができる。
ふうこさんは今真冬の風の中で波乗りをする、津波の後、海を憎いと思ったけれど、海が悪いんじゃない、海を憎んでごめんねと言って、また海へ入るようになったという。ちかこさんは海に向って絵本の朗読をなさったと聞いたので、わたしは海に向ってアメイジング・グレイスを歌った。ここから天国へ旅立っていかれた方々の魂へ向けて。

次にふうこさん達が連れていってくださったのは南相馬市の小高地区。尾高駅に車を止める。この駅からまっすぐに伸びている道の両側には店らしい面影も家家が立ち並んでいるが、誰も住んでいない、誰も歩いていないゴーストタウンのような町。震災後、原子力災害に伴う警戒区域に定められ、人の立ち入りが禁止された場所なのだ。現在は町への出入りはできるようになっても、インフラが整っていないので、ここでの生活は不可能。この土地を追われた人達はいつ戻ってきて生活ができるのか、この先の見通しも分からないという不自由と不安とを強いられている。ちかこさんの娘さん、めぐみさん(12月にはまぐみさんにもお会いしている)の婚家先の呉服屋さんはこの駅前通りにあるのだが、家の痛みが進んでいるため、立ち入り禁止の黄色いテープが貼られていた。こうして人の住まない家屋は朽ちて行く。早くインフラが整い、この町に住人が戻ってこれることを祈る。

午後3時、太田小学校の学童保育室へ。子ども達のいる場所はどこも独特の明るさとわくわくするような空気がある。わたしがザックからリコーダーを取りだすと、2年生の女の子たちが、わたし達もいっしょに吹くと教室に戻り鍵盤ハーモニカを取ってくる。たちまち賑やかな音楽が流れ始める。ちかこさんが、この土地の昔話を題材にした手作りの紙芝居を読まれるというので、ちかこさんの朗読のあわせて、即興で笛の音を入れる。絵本はキーツの The Snowy Day を子どもたちとやり取りしながら英語と日本語で読み聞かせし、マザーグースの「豆がゆあつい」の手あそび、イギリスの昔話から「カメの遠足」のお話をする。1年生から6年生まで10人ほどの子ども達と2人の先生方の学童保育室は家庭的な暖かさにあふれていて、見知らぬわたしを昔からの知り合いのように受け入れて下さった。この子ども達との時間も忘れることはないだろう、

学童保育訪問の後、ちかこさんのお宅の「チューリップ文庫」に立ち寄り、御茶をごちそうになる。たくさんの絵本や手作りの人形や手芸品など、子ども達が喜びそうな空間にほっかりする。お姉さんとお二人で文庫活動をなさっているというのも素敵だ。わたしも子ども達が小さな頃、団地の我が家で「たんぽぽ文庫」を開いていたので、ちかこさんの絵本や地域の子ども達への思いは良く分かる。文庫の気分を思いだして懐かしく、嬉しかった。

 午後5時原ノ町駅に戻るとこの旅の最後に会うことになっている、のぞみさんが車で待っていてくれた。彼女は仙台からわざわざ車で迎えに来てくれたのだ。アメリカに滞在していた時、コミュニティーカレッジで出会い、いっしょに勉強したり、買い物に行ったり、ピアノとバイオリンの演奏などもした友人だが、帰国後彼女はドイツへの駐在が長く、会うこともないまま20年が過ぎていた。20年のブランクはどこかへ飛び、仙台までの道中、また仙台駅から午後9時過ぎの新幹線に乗るまで話は尽きなかった。なんと貴重な再会だっただろう。

11時半家に無事帰り着き、旅はすべて予定通り終了。懐かしい出会い、新しい出会い、旅を計画する時にはまだ見えていなかったことがひとつひとつ実現し、たくさんの種となった。
そうだ、この東北の旅を記念して、春になったら、「南浜ひまわりプロジェクト」で咲いたひまわりの種をまこう。ここでも小さなひまわりプロジェクト・・















たりたくみ |MAILHomePage

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