たりたの日記
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夕方の忙しい時間に玄関のチャイムが鳴る。 ふとそんな予感がしたが、当たりだった。ドアを開けると、「奥さん・・・」と妙に下手の、申し訳なさそうな声でおじさんが新聞の勧誘を始める。
我が家は毎日新聞か朝日新聞で、めんどくさいので、基本的に新聞を変えたりはしない。まれに勧誘の人の泣き落としに負けてしまったりして、数年に一度、変えようと積極的に思うことなく変ってはきたが・・・
でも、ここ数日間、毎日から朝日に変えたいと思っていたのだ。というのは、遠藤彰子さんが朝日新聞の連載小説の挿絵を毎日がんばって書いてるとエッセイにあり、その画家の日々の仕事を見たいというのがその理由だ。物を書くことを志す者としては全く不勉強だが、わたしは新聞そのものをあまり読まず、新聞小説は読んだためしがない。挿絵なども気をつけて見たこともなかったのだったが。
で、ちょうどいいタイミングで勧誘のおじさんが玄関口にいらしたという訳だ。 いつもなら「新聞変えると主人からしかられますので」などと調子のいいことを言って、お断りするところだが、今回は 「あ、ちょうど、朝日に変えようと思ってたところなんです!」 と、思わずうれしそうに言ってしまった。
おじさんは、ちょっと拍子抜けしたみたいで、手にしたビール券をひっこめそうな勢いだった。
あ、こういう場合、一応断って、それで、ビール券とか洗剤とかと交換条件に持ち込むんだったっけ、と、おじさんが手にしているビール券をじっと見つめる。
「あ、洗剤とビール券、どっちがいいですか」 と、おじさんはちょっとあわて気味。
「もちろん、ビール券よ。新聞変えると主人の機嫌が悪くなるんですけど、ビール券でなんとか機嫌取れるかもしれないわ」
と、またまた調子いいが、これはあながち、間違ってはいない。
おじさんは手の中のビール券を5枚だけ渡してくれたが、その後、あ、もう一枚、やっぱりもう一枚あげますよ。と、わたしが催促したわけでもないのに、 手にしていた7枚のビール券を全部くれた。きっと7枚というのが景品なのだろう。
読みたかった新聞に変えることができて、おまけにビール券というのはずいぶん得なんじゃないだろうか。 明日から朝日新聞入れてもらうことにした。楽しみ、楽しみ。
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