たりたの日記
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最近、トレッキングシューズを買った。 学生の頃、出不精なわたしを無理やり山へと引っ張り出そうとした同居人は、まず、わたしに登山靴を買えと、靴屋へ連れて行った。あの時に買ったのは、真っ赤な登山靴と分厚い登山用の靴下だった。
あの頃に登った山は久住山と白馬岳。それから尾瀬。久住と尾瀬にはテントを張った。しばらくは登山靴も、山やキャンプの道具も引越しの度に持ち歩いて来たのだが、登山靴はどうやら処分してしまったようだった。もう山になど行かない気がしていた。
最近になって山に行ってみたいと思ったのは、寄る年波(この言葉が実感できる年になってる!)のせいだろか。それともジムで鍛えて、足腰、体力に自信ができてきたからだろうか。ま、直接の動機は最近顔を出すようになったBゼミの面々が文学のお勉強の傍ら、みなであちこちの山に登っているのに触発されたのだ。まずは靴を買おうと思いたった。
スポーツ用品屋の一角にトレッキングのコーナーがあり、見ていると、山に行かなくてもわくわくするものがある。靴も昔の登山靴に比べると、軽くて、ずいぶん履き心地がいい。いろいろ履いてみて、コールマンのトレッキングシューズに決める。ゴアテックスでしっかりと防水できるというもの。
で、幸い11月23日は祝日。天気もよさそう。何より、紅葉の山に行くにはラストチャンスだろう。Bゼミの掲示板を見れば、みなで奥多摩方面の山へ登り、山頂で鍋をやるらしい。それは魅力的だが、20年も山に登っていないオバハンの飛び入りなどご迷惑なことだろう。低い山から足慣らしをしよう。 まずは同居人に声をかけ、さらにこの日誕生日を迎えるタミと、ちょうどアメリカから遊びに来ているタミのお姉さんのメアリを誘う。では行きましょうと話がまとまったのが日曜日のこと。秩父の山と温泉へ行くことになった。
今朝は朝5時に起床。支度をし、朝食を取り、おやつ用のサンドイッチを作り、6時に家を出てタミの家へ迎えに行き、秩父の宝登山の登山入り口に着いたのは8時過ぎ。車を止めた駐車場にはなんと花の咲いた桜の木が3本並んでいる。一瞬春がそこに訪れたような不思議さだ。それは冬櫻だった。たまたま2週間しか日本にいないメアリは、季節はずれの、この桜に大喜びで、しきりに写真を撮っていた。
何しろ500メートルの高さの山で、ロープウェイもある山だから、山登りというよりはハイキングのようなものだったが、紅葉した木々の間を、かさかさと落ち葉を踏む音を聞きながら歩く時、心が踊った。
歩いている山道は二人が子供の頃を過ごしたパプアニューギニアの山道に良く似ているという。パプアニューギニアでの暮らしのこと、メアリの仕事(幼児の音楽教室で教えている)のことなど、話を聞きながら歩く。歩き始めた時には、寒くて帽子や手袋までしていたが、歩いている間に、ジャケットを脱ぎ、フリースのセーターを脱ぎ、最後には綿シャツだけになっていた。
山頂(というほどのところでもないが)からの眺めはやはり格別。うす青い透き通ったような山がいく層にも重なっている。山また山が延々と続いているこの景色が子供の時から好きだったと口々に話す。4人ともそれぞれ山に囲まれた土地で育ってきたので、山には特別な思いがあるのが分かる。
降りは、わざわざ傾斜が急な道が整備されていない山道を辿って降りてくる。お昼にはまだ早いので、そんまま歩いて長瀞へ。 秩父鉄道で蒸気機関車が走るところを見ようという人の群、川下りをしようとする人達の行列を通り過ぎ、紅葉と川と岩が美しく見えるスポットを見つけしばらくそこで過ごす。水のある景色はいつも好きだ。 こういうところで本を読みたいね。いや昼寝もいいかも。
タミおすすめのトンカツ屋で、誕生日を祝ってのランチ。 帰り道に、温泉に入る。2時間ほどそこにいたので、温泉を出た時にはすでに暗くなっていた。
さて今度はどこの山にしようか。 タミはよしやが生きていた頃はジムでロッククライミングを練習し実際の岩場も登ったらしいが、一人ではなかなか行けないという。タミに付き合って壁をよじ登っていくという岩場の練習、やってみるかな。
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朝、起きてみるとタミの日記にも山行きのことが書いてありました。それにしても、アメリカ人で、よくここまで日本語の文章が書けること。読む度に感心します。わたしはここのところ英文書くのすっかり面倒になってきているというのに…なんとかやる気を起さねば…
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