詩のような 世界

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2006年11月24日(金) ドリル



日が落ちるころ

僕は海の上に立っていた

水面からわずか数センチのところ


空は

上半分が濃い藍色

下半分がオレンジ色

その境目を見極めようと

必死に目を細めてみたけれど

きれいな線ではなくて

混ざり合っていた

まるで僕のようだ

どちらも本当ではなく

どちらも嘘ではない


岸辺から

裸足の人が僕を呼んでいる

遠すぎて聞こえないけれど

僕を呼んでいることがわかる

小さすぎて顔が見えないけれど

とても大切な人だったことはわかる


消えゆくオレンジの光を背に浴びながら

両腕を横に伸ばした僕は

ゆっくりと回転し始めた

飛び散る涙は

穏やかな波が引き受けてくれる


もう戻れないんだね

もう戻れないのかな

もう

そんな呟きを繰り返しながら

僕はドリルのように

水しぶきを立てながら暗い底へと沈んでゆく



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