詩のような 世界
目次|←|→
深紅の城は ある少年の住処で この縮れた世界を統治するのは ちっぽけな彼なのだった
地下室に閉じ込められた野獣の唸り声に合わせて 彼は詩を吐く
言葉というより 悲鳴 彼は 彼自身が悲鳴
緑色の星 鈍い光 見るからに意地の悪そうな魔女が空を旋回する かつて彼の母だった女 毎晩、城を警戒している
彼は犬笛を手放せない 吹いても飛んでくる犬などいない だけど望みは捨てられない という
紅の詩で街を満たしたい などとは企んでいない 自分が歌っていることすら 彼は信じられないくらいなのだから
そう ぎりぎり 彼は 彼という名の宇宙を統治していた
そう ぎりぎりの詩で
|