詩のような 世界
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| 2002年11月23日(土) |
毒薬取り扱い試験「優良合格」 |
外は思いっきり晴れていたので
毒薬を調合することにした
べつにトカゲの尻尾や処女の生き血など必要ない
そこらに落ちてる埃と犬の唾液で十分だ
あの男を殺すつもりなんでしょ
と友人のような人が含み笑いをしたが
まさかそんなことをするわけがない
そこまで他人に興味などないのよ
つまり観賞用ということである
誰に飲ませるためでもない
毒薬を日々眺めては観察日記をつける
朝顔記録よりわくわくすることは確か
しかし時々見ているだけでは物足りないと感じる
瞬時に昔の男の顔が脳裏にちらついた
隣で笑っていた私が思い出される
不自然な空間で2人は寄り添っていた
ああそうか
あそこには愛なんていう空想物は存在しなかったのかも
言葉ではいくらでも囁ける「好き」「一緒にいたい」
でもそれは自分と相手を洗脳するための手段にすぎない
私は知っていた上で流されるふりをした
流されれば楽になれるような気がしたから
その結果できあがったのが今の私だ
毒薬をうっとり見守る超現実的な女
あの男が悪いわけでも幻想に罪があるわけでもない
ただ私は理性から解放されることがないのだ
現にこの毒薬は誰の口にも入っていないし
「皆自分が1番可愛い」を疑う可愛さが欠如している
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