うちには庭と呼べる場所がありません。 家の裏の方に、わずかに土が残った場所がある程度です。 それでも、毎年ささやかに水仙が咲いたり、貧弱な金木犀の木に花が咲いたりするのですから、自然とはありがたいものです。
この間、車に乗ろうとして、ふと視線の隅に紫っぽい何かがよぎりました。 ちょうど家の裏に当たる方向なのです。 何だろう、とよくよく見ると、青紫色の花が咲いている! え、嘘・・・と近づいてみました。 そこは、いつも終わった鉢植えの残りの土を捨てる場所なのです。 ちょうど金木犀の木の根っこの辺りなので、もしかしたら土に紛れた肥料とかで、多少は木に栄養が行くかも、などと都合のいいことを考えて(笑)
そして、咲いていたのは、もう枯れてしまったと思い、去年土ごと捨てたはずのプリムラでした。 青紫色の花を、しっかり咲かせています。けなげ〜〜(^^) そうか、そうか、お前はがんばって生き続けていたのだね。 気づかずにごめんね、と心の中で謝って、しばし鮮やかな青紫色に見惚れていました。
さて、そうなると・・・これはまた鉢に戻すべきなのか、それともこのまま大地にある方がいいのか。 いや、その前にプリムラって、一年草じゃなかったのか(^^; てっきり、一年で終わりだと思ってしまっていました。 もし多年草だとしたら、また狭い鉢の中に戻すよりは、このまま土に植わっていたほうが自然でいいのもしれません。 他の場所と違って、ここだけは、土がたっぷりと積もっていますし。 もしかしたら、増えたりしてくれるかな、などと虫のいいことまで考えます(笑)
プリムラを眺め、さらにふと気がつくと、わずかな隙間から、ひょこっと顔をのぞかせている花が・・・ あらら、これはもしかしたらフキノトウ? そう言えば、時期になると大きなフキの葉っぱが出ていたっけ。 花は、とても素朴で愛らしいですね。 こんなに窮屈そうなところにも、がんばって咲いているんだなあ。
きっと毎年、ひっそりと咲いていたのであろうに、気づかずに過ごしていたようです。 今年はプリムラのおかげで、気づくことができて、よかった。 小さな小さな春、心和みます。
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