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2004年05月20日(木) リジリアンス

研究室にソファーがきた。同僚の先生の紹介で業者さんにやすくしてもらえた。ゼミ生は「おお、すげー」と喜んでいた。「大学の先生の部屋らしくなった」ともいっていた。おいおい。

たしかに、座り心地がよくて気にいっている。しかし、こんなもの買うと、ますます研究室に泊まることに抵抗感がなくなっていくではないか。
いかんいかん。せめて夜は帰ろうと思う。

今日の授業は虐待について話した。
最後の方で『リジリアンス』についてふれた。
リジリアンスとは、例えば虐待のサバイバーがもつ、逆境にたえてやっていく力のようなものを指す言葉である。

ウォーリン夫妻の本によれば、これまでの虐待についての理論は「ダメージモデル」、すなわち、虐待をされた子どもは、健全な人間に育つポテンシャルを減点されていくというモデルに基づいているという。虐待をされて育った人はリスクのかたまりであり、大きな負債をかかえた可哀想な人ということになる。

ウォーリン夫妻はこうしたモデルではいけないという。彼らが提唱するのは「チャレンジモデル」だ。つまり逆境に遭遇しつつも、それに負けず、なんとか生きていこうとチャレンジすることを支援するやり方である。

たしかにそうだ。

不幸な目にあい、将来のポテンシャルまで制限されたのでは夢も希望もないではないか。もちろん、逆境の深刻さは認めなければならない。安易に過去のいたみが消えるような図を描くべきでもない。しかし、逆境を乗り越えていこうとする人たちに僕は敬意を表しようと思う。ダメージモデルな人からみれば「不適応症状」でも、チャレンジモデルな人からみれば「智恵」にもなりうるのだ。

これは虐待に限らない。DVでも、セクハラでも、人生どんな逆境に遭遇しても、それでも「どっこい生きて」いく人の可能性を僕は信じたいと思う。


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