非日記
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2003年08月29日(金) タノシイ。

駄目だ、私。
オーシャンズを返す前にともう一回見たら、激しく楽しくてタマらんくなってきた。偶にこういうのは、妙に、二回目からが見れば見るほど我武者羅に面白いのよ。

ああ、なんてことだ。
おかしい。
公開当初、あまりにも豪華キャストだってので鳴り物入りすぎて引いてしまった覚えがある。捻くれ者…というより単なる自意識過剰で、派手に宣伝されるほどに「あぁ〜ん?(眉間に皺)」となってしまうのだ。(しかも特には、めぼしい「私は彼(彼女)を見たい」的な好きな俳優もいなかった)
あげくに、人に聞く評価が芳しくなかったので「そうだろうともよ」と、あまり見たいと思わなくて、そんな自分に満足していたのに。
ただ、「大風呂敷の大掛かりな詐欺」というところに、例によって
「いかん。ならん。人として駄目だ。真っ当な人間になるって海に約束しただろう!?」
等と思いつつも、抑え難く延々と心引かれて気にはなっており、「今日は特別これが見たいと心揺れ動くものが無いなー。これでも見ておくか」と、とうとう気安く見てしまったのが敗因かも。

あまり期待して見ないので、滅多にガッカリしないのも色々イケナイんじゃなかろうか。

それにしても、
いかん、面白いわ(屈辱)なんてこったい。マジで面白いだなんて嘘だと言ってくれ、私。
今まさに恋愛小説のハーレクインなヒロインの気分だ。
「あんな男が好きだなんて、どうか嘘だと言ってちょうだい、アタシ!おおお!神は死んだわ!」という奴だ。理由は、知らんことにしとこう。


最初見て、流し始めた時には、私はジョージ・クルーニーの顔が特別好きってわけでないので(というか、どっちかと言うと好かない。バシバシな感じが)、主人公が登場した途端に、いきなり
「イマイチ」
と思ったのだが(話が始まってないのに)、気が早かった。
音楽が、ちょっと最初から最後まで好きな感じなのよな。それで曲が流れ始めた途端、そこはかとなくイイ感じの気がしてきた(話が始まってないだろうって)。
ラスティーと「暇だ」「そう見える」「暇なんだ」と言い合い始めた頃から、面白い気がして来て(また掛け合いにはまってる)、ルーベンのところに辿り着いた時には激しく面白くなっていた。

ルーベンを説得するところが激しく面白い。「そこから」と言っても良いが。
ここのあたりの音楽の使い方と、ルーベンの台詞回しと、画面の入れ方と、相当好きだ。吹き替えも見てみたいが、もとの英語での会話が、やっぱり韻を踏んでるし、おかしいし楽しい。
ラスティーの微妙な感情も。より可愛い。
いや、なんか知らんが妙に可愛いよ。いつも何かしら食ってるところとか。

字幕で見て良かった。特にルーベンの「…desert!」への「You are right. He is right.」から、あまりにも早すぎる撤収の(素振りの)、畳み掛けるような怪しさ全開さ。すばらしすぎる。
顔が笑ってしまって…。駄目だ、タノシイ。

立ち去り際の「ベリーズでは世話になった」への
「Our pleasure.」
「I'd never been Belize.」
は、頂点だ。セリフの長さとイントネーションとタイミングの良さ。これは英語で聞かないと。訳も良いが、やっぱり音として聞いた時の歯切れの良さが。リズミカルで好きだ。まるで漫才のよう!
ボケとツッコミの白々しさときたら!
イエンのところとかも、かなり。間がねえ。

私、こういうの…もんのすんっげー好きなんだよ(苦笑)
はっきり言って、スンッッゲー!好きなんだよ!(しつこいよ)
落語や口上好きな魂が燃えてるんかも。
そういう意味では、スティングは台詞の掛け合い萌えした覚えがあまり無い。何があんなに面白かったんだろう。よく覚えてない。だいぶん忘れてる。

舞台が本格的にラスベガスに入ってくるところでの、♪ア・リトル・レス・カンヴァセーション♪の入り方も凄く良い。かなり良い。たまらん感じ(苦笑)
こういう映画好きなんだよう。
うええ。

こういうの見ると、「私はもしかすると映画が好き?」と思う。

嗚呼、「スティング」が見たくなってきた。昔に録画したのがどっかにあったかもと思うんだが、テープが足りてなくてラストがちょん切れてるのだ。
人に「オモシロイんだってバッ!」と半ば無理矢理見せていたら、ラスト付近でいきなりプツっと切れてしまい。
テープは勝手に捲き戻り始め。

人「…ちょっと…この続きは?」
(私の記憶によれば、いぶかしげだった)
私「…ハハハ、テープが足りてなかったみたいねえ」
(自分でも知らんかったので、ちょっとショックを受けていた。「あまりにも好みで面白かったので標準で録画しようとしていたのがマチガイの元だった。全ては愛の所為だった。愛の為に冷静さを失っていたようだ。なんて愚かな私よ。情けない」と悲嘆くれ、惨めさを噛み締めていた)
人「それで、続きは?」
私「だから無いのよ」
(「私だって傷ついているのに、シツコイやっちゃな。何度も言わせるな。傷口を抉るなよ」と思った)
人「続きは!?あるんでしょ!?」
(「何急に憤ってんのよ。つまんなそうに見えたぞ」と思った)
私「そりゃあるよ。あるけど、無いもんは無いのよ」
(やるせない気持ちだった)
人「つまり、今ここに無くて、見れないのね?!」
私「そうよ。だってテープはここまでなんだもの」
(現実を再認識し、再度惨めさに耐えていた)
人「なにー!?ひどいわーッ!」
(私が「最初からラストが切れている事を知っていて見せた」等と思ったらしい。そんな事はない。私こそ今まさに大ショックを受けている真っ最中だった)
私「良いじゃないの。後ちょっとだったんだから。後はラストだけよ」
(私が無理にすすめるので仕方なく見てるように見えてたので、情けなさも混じって「まあ良いじゃないの。つーんだ」と、密かにふてくされていた)
人「気になるじゃないの!」
私「へえ…気になるの?」
(「えらいシツコイな。もしかして…、面白かったんか?」と、ジワジワ疑いが沸いてきた)
人「気になるでしょうがッ!」
私「気になるんかー」
(「やったぁ☆ちょっとは面白かったんか?」と浮上してきた。このニヤニヤが余計苛立ちを煽ったらしいな)


とか、怒られた事を思い出す。
もうすぐ安いのが出るのよな。いっそ買おうかしら。いや、きっと買うだろう。
こういう経緯で、心に傷を抱えさせた件のテープは封印したきがする。捨てたかも知れん。上から何かとったかも。


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