非日記
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2003年03月14日(金) <二つの塔>見ました。

「ママ!やったよ、ママ!」
「まあ、おめでとう!ところで、その手に持ってるものはなあに?」
「これは未使用の「二つの塔」の前売券だよ、ママ?」
「マッ!?あなた、映画を見てきたんじゃなかったの?」
「勿論見てきたよ、ママ!もう一枚の前売券を使って、一番後ろの席でね。」
「もう一枚って…なにそれ?どういう事?」
「えーと、ママ、つまり、つまりその、あの、つまり僕は……ああ!急に用事を思い出したよ!行かなくちゃ!」
「待ちなさいッ!!話はまだ…ッ!」
「ビデオの返却日なんだよ!じゃあね、ママ!」
「ぎゃーーっ!」

…買った前売券が一枚こっきりなら、こんなにまで「とにかく見に行かなければ!それもなるべく早くッ!」なんて追いつめられてなかったんだよ、ママ…?


前も二回見たから、次も二回見るかと思ったのよ。自分を嵌める気はなかった。本当だ。馬鹿な、私が私に不利になる事をするとでも?被害妄想だよ、チミ。不可抗力なんだ。当然だろ?他所の人を見ろよ。皆自分と仲良くやっている。無論私も仲良くやってるってわけだ。そうだろう?ハハハ!


で、ともかく
サクサクっと感想。勿論きっとネタバレです

>>

とりあえず、原作から遠ざかってゆきます。
分かり難い…と、思ったのは、私が早い展開に追いつけないノロマだからかもしれないが。
エピソードが削れてるのは相変わらず淋しいかぎり。
指輪物語のあの重量感ってのは、設定の細やかさや緻密さもあるのだろうが、やはり確かに文字である事に起因するんではないかとチョッピリ思われる。シツコイまでの地理や地形、情景に対する描写と、圧倒的なまでのセリフの量だ。一人の登場人物があれだけ冗長に喋るような物語てのは昨今では見かけない気がするよ。
しかも感情的に非常に緩やかで、そして淡々としている。

妙にフロドとゴクリとスメアゴルに感情移入してしまうと思ったら、自分の日記と心の遍歴を省みてみなさいという感じだっただよ。
どこかで会った人達、いつも見ている人達と思ったら(笑)
分裂病かと疑われるゴクリだが、そう言われると私、どうなんだろうねと苦笑するしかない。あれは分裂病ではなくて、単なる創作ファンタジーかもしれないよ?どちらがファンタジーなのか不明なまでの域に達した熟練のワザによる名人芸かもな。

映画のゴラムとスメアゴルは、まるで落語みたいだ。どっちが上座とか決まってるよ。右向くとゴラムで、左向くとスメアゴルとかな。ゴクリとスメアゴルの問題は統括人格が出て来ていない点と見た。ン千年だかン百年だか知らんがあんまり一人篭ってた所為で、絶対他者と対話する積極的必要が無く、その気も無く、統括者が必要なかったんかな。
ところで、原作ゴクリはアラゴルンの名前を聞くのも嫌がってるが、ものごっつ気になる。よくもあそこまで嫌われたものだ。二人っきりだった道中、あの男は一体ゴクリに何をやったのだろうか?(苦笑)

ゴクリはスメアゴルなんだな、映画ではそれが良くわかるよ。だからスメアゴルを守り、スメアゴルが肯定された事でゴクリは姿を消すんだ。だのに、あのラストはもの悲しい。楽しそうに魚とってるの見て、その後を思うと・・・。
もう、ファラミアむかつくー(また気安くムカついてるよ)原作の方が筋が通ってるってのもあるが。だって、アタイのゴラムがああ(いつから君のモノに?)

フロドには、原作より大分末期症状を呈し始めているが
「フロド、ガンバ☆」
と妙に気安い気持ちだ。それどころか、「イイ面構えになってきたな。これぐらいの顔つきの方が私好みだ」って、原作とは別者として映画のフロドが段段好きになってきた。私ね、アアいう目つき好きなんだよ。馴染み深くてな。
えーと、某社長初期とか某庵んとかか?

「フロド様、オレです。サムです」
の悲痛な場面で
「ほら、フロド、あなたのワンちゃんですよ?よく見て。ワンちゃん、泣いちゃってますよ?」
と幻聴が聞こえ、不謹慎にも啜り笑ってしまう始末。
年を経るとね、得るものがあると同時に失うものもあるのだよ。

でもあそこは至極良かった。最後のところ、
サムが
「勇者サムワイズか…(ちょっとイケテル…)」
と呟いてて、聞こえてるフロドがちょっと笑ってるところ。なんか胸元からキュンキュン音がすると思ったら、どうやら胸キュン☆だった。
やっぱ好きだわ、この人(苦笑)たまらん。
今回は、もっとたまらん人がいたけどね。それは最後に叫ぼう。


アラゴルンに至っては、妙に若返ってました。前回の終りに死体に何を悪戯してるのかと思っていたら、額からチューっと若さを吸い取っていたらしいよ?

死人の頭を蹴ったくり。何やってるのか。責める他人がいないからって、ヤツアタリしてるよ。
「そんな怒り狂ったってね、おまえ様がボロミアにチュウ☆とかやったり、埋葬してみたり、サムとフロドを眺めてボサっとしてた所為だよ。今更しょうがないだろうが」
等と「アーホ、アーホ」等と思って見ていたのだが(貴女、脳を仕切り直すとかキバってなかったか?そんな昔の事は忘れました)
原作と同じで、異様に立ち直りが早い男だ。失策を埋め合わせできないかと急に冷静になってるが…。ここ、原作でのボロミアの死んだ直後の代替なんだろうと思うが。原作の方が良いね。皆で、ああじゃないかこうじゃないかって考えるところが。
一人で落ち込んで一人で立ち直って一人でウロチョロしてます。その様を見ていると、そう言えば「旅の仲間」で、「(訳:ジッチャンの名にかけて!)」等と叫んでいたなあ…と思い出してみたりする。
ついでに、
崖から落ちる所。確か左腕がひっかかっていたように思うのだが、「もしかして…それってボロミアの篭手がひっかかった?(笑)そんな抹香クサイもんを持ってくるからじゃ。捨てなさい」と思い(苦笑)
しかもレゴに云々現実を直視しろと言われて、
「なら俺はここで死ぬ!」
って、あなた…(苦笑)あの前回の感動的な口約束はどうしたの?物忘れも激しいらしいよ。原作の「実は御歳八十ン歳」設定が密かに巧みに活かされているのか?
さらにレゴレゴに、「落とし物じゃよ」と例のブツを渡され、どこか「…あ、今を生きるのに精一杯で、そんなものがあったのを忘れてたよ。失くしてたらしい事に今気づいた」という雰囲気が可笑しい。
そのボケが始まっている物忘れの激しさがゆえの、切り替えの早さであり、自分でも「ヤバイぐらいボケてきた」という自覚があるので、記憶力を補う為にボロミアの篭手を持っていったのかもしれません。

どうも脳を仕切り直す事に失敗したよう。

レゴラスはね、馬?に乗る乗り方が良かった。無茶苦茶な乗り方してた。オリンピックの男子体操、鉄棒を見ているようだった。

ガンダルフは
「どうしてッ!?」と驚く皆に
「出戻りじゃ!」
と、相変わらずイカス爺ィでしたが、今回は渋さでセオデン王に完敗です。いいよ、セオデン王!素敵!
すげ静かなところで、甲冑を着るところとか。孤独さが身に沁みるね。
あの「門を守れ!」という命令に、絶望的な状況で「いつまで守れば良いんです?!」と問われて、ビクともせず「破られるまでじゃ!」とかなんとか言うところとか。
後あそこが良いね。騎乗して、海の如く蠢いている「死ぬよ、こりゃ」とわかりきってる敵の群れに向ってバーっと突っ込んでいくところ。
…ときめいた(苦笑)

そんでガンダルフが来て、三秒あったら死ねるよ?という戦況を丘上で見下ろしつつ、エラい冷静に「あそこに王がおられる(エオメル、おまえはどうするのじゃ?)」て言うたら、エオちんが「(勿論)お守りする。(言われるまでもない)」って言うところ。
そんで下っていくでしょ。ときめき。
好きなんだよ、こういうの。
言うなれば殺戮シーンを見ていて変かもしれないが、人はどうだか知らないが、私的に「…生きていこう。死ぬ瞬間まで」って心が震える感じがするんだよ(苦笑)
なんというか、こう、恐怖があって、それを抱えたまま、その恐怖に頭から突っ込んでいくような。それを捨てるのではなくて、持ったままってのがポイントなのよ。何かを超越するってのはそういう事ではなかろうか、と思ってみたり。

軽々と飛ぶのより、何か重いものを引き摺って、その重荷とそれが括り付けられた自分自身を引き千切りながら、無理やり駆け上がっていく感じが好きなのよ。
好きっていうか、心動かされるっていうか、単にキモチイイというか。
「魔女の宅急便」で最後に、周りの音が聞こえなくなるまで精神を集中させていって、静かに強く「飛べ」って囁いて飛びあがり、その後必死でコントールするところとか。要するに、自分に命令し、自分の意志で、自分を制御する感じだ。

なんていうか、自分以外のものになろうと望んだり、自分に無い新しい力を欲するのではなくて、自分が既にもっている能力を正しく知り、自分自身をコントロールする、例えば、リ・ビジョニング、ソーシャル・スキル、トランス・パーソナル、フェア・ウィットネス、そんなような、自我を超越したメタ意識が扱う意志によって自己を制御する老練な技能と技術への礼讃であるとか。
歳月を経て、経験を積み智恵と制御を得、新しい知識と力を得る事ではなく、既に得ている知識と力を巧みに用いる事に対して高い価値が与えれていて、それが原作の指輪物語の根底に脈々とある気がするんだ。
永遠の命を与えられ桁外れに長生きしてるエルフ族が非常に理想的な存在として描かれている点にくわえて、サルマンでなくガンダルフがサウロンに敵対する点とか、エレスサールが人間としては特殊に実はめっちゃ年寄りの設定だって事とかな。

それがゆえに、児童文学でありながら、「大人のファンタジー」たりえるんじゃないかって気がするんだよ。

ま、それはともかく、

ぎむりーッ!



最初から最後まで、ギムリ最高です。
もうね、ちょっと疲れてきたから殊更細かくは書きつらねないが、このフォントの大きさで補って私の気持ちを推測して欲しいよ。
前回は、ガンサルの戦闘シーンを見たくて二度行ったが、今回はもうギムリ・フィーバーなんで!
無いシーンも沢山あるけど、そんなのもう良い。要らんシーンと思われるものも沢山無いでもないが、そんなコマケー事は何も言わないわ!

ギムリ、激烈プリティ。

「この胸の谷間に埋葬したい!」等とムラムラ思って、映画館でハアハア喘ぐ事請け合い。なんかねえ、もうどうしよう(苦笑)反則だーよ。

なんだこの映画は?
アラゴルンをエロくして、レゴラスを格好良く、ギムリをプリティに演出する事に魂をかけた映画か?

「同人誌も何も、他には何も入らない!この映画さえあれば良い!ギムリ、愛してる!」
て気持ちになるよ。こんな可憐なギムリんが暗黒レゴの魔の手にぃ〜…とか思うよ。ちょっとアナタ、どうしようか。
嗚呼、はやくDVDにならないものか。したらば思う存分、ギムリをエンドレスにピックアップできるのに。

なんかメリピピとかその他まで辿り着けなかった。


やぐちまさき |MAIL