-A VAGRANT LIFE IN NEW YORK-
飯沼省



 何故かジャーナリスト・アワードへ出席

午前11時、審査員の確保も俺の役目なんで、日本の大物アーティストM氏にコンタクトを取るためにニューヨークと日本に電話を掛けまくる。

日本のKKKには、あらかじめメールしておいたのだが、念のためミヅマ・ギャラリーの浦野さんに聞く。そしたらやっぱりKKKのMさんを通すのが一番早いらしいので、再度電話。そのMさんは、俺が送ったメールをNYのW氏に転送してしまったらしい。う〜、話がうまく通じてない・・・。

アート雑誌「美術手帖」の広告担当さんと、次号の広告の件を交渉。また、いろいろと情報交換。しかし、今どきポジティブフィルムで入稿って、コスト掛かり過ぎですよ!!!トロントでポジを焼いてくれる印刷所が分からないので、JCの河合氏にヘルプの電話を掛ける。

昼になってRafiが立ち寄った。これから彼一人で日本領事館へ行ってもらうので、諸々確認。「じゃあ、行ってくるね!」と自転車に飛び乗って走り去ったRafiだが、直後に車に跳ねられるという事故が起こった。警察を呼んで一騒動。幸い無傷だが、自転車は大破。DXから領事館に連絡してもらって、面会時間を遅らせてもらう。

夕方、領事館での内容を聞こうと、Rafiの家へ向かう途中、携帯に緊急連絡が入る。何でも、コンベンションセンターで今夜開かれる【ジャーナリズム・アワード】への出席のお誘い。へ、何で俺が!??

とにかく、スーツに着替えて今すぐ来てくれ!というので、慌てて家に戻って着替える。タクシーで拾ってもらって会場へ着くと、TVでよく見かける顔ぶれがそこここに居るではないか。わけもわからず案内されたテーブルに座る。

しばらくして、やっと電話の主であるパトリックが現れて事情を説明してくれた。彼は現代アートのコレクターで、”Let's〜”の時に作品を10枚も買ってくれて以来の付き合い。

このアワードの列席者は銀行の頭取から大企業の会長、役員、テレビや新聞など各メディアの代表が集まっているので、俺のスポンサー集めの絶好の機会だと言う。

彼の奥さんが急病で来られなくなったので、急遽俺のことが頭に浮かんだらしい。何てありがたいことだ!しかも、テーブルの値段を聞いてビックリ、一人300ドル(3万円)の席だという。俺の隣にはCIBC銀行の役員と、BMOファイナンシャルのCEOが座ってる・・・。

ステージでは、着々とアワードの発表とコメントが続いているが、俺の耳は隣のCIBCとBMOガイズの話にダンボ(笑)。はっきり言って、年齢的にも彼らの話に割り込める余地がないんで、ひたすら聞き役に徹していたら、パトリックが横から「彼のアート作品を一度見るべきですよ!」の一言。そっから質問責めにあう。

もう、本当にこういうのは参る。だって、「どんな作品なんだ?」って聞かれても言葉で説明できるわけないじゃん!だからと思って、アート自体の話に持っていこうとすると、相手もそれなりに自分のアート観を持っているから、話が平行線のまま宇宙へ飛び出して行っちゃうし(苦笑)。

それでも、自分のアートを追求しながら展覧会をキュレーションしたり、平和イベントをやったりする事には凄く共感してもらえた。

でも、彼らにとっては実績こそが判断基準で、今までどんな実績を残したか?ばかり聞かれて困った。俺が本当に話したかったのは「これから何をやろうとしてるのか。」であって、「今までに何を成し遂げたか。」じゃない。

最後に名刺を交換して別れたけれども、必要ねぇなと思ってゴミ箱に捨てて帰った。きっと彼らだって、俺の名刺なんて今日交換した数十枚のうちの一枚なんだろうから。


2003年06月17日(火)
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