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一晩過ごした旅館に別れを告げて湯河原駅まで戻ってくる。駅前の大きな桜は一日の間に一段と花を咲かせていて、もはや満開である。駅前でお土産を買って、東海道線の普通に乗ることにする。またも首尾よく席を確保することができ、今度は海側を眺めながら帰途につく。地図で見ると、電車は真鶴岬の内側通るので、湯河原から真鶴あたりは山の中を通り、根府川駅あたりからしばらく海沿いに進むことになる。 根府川駅は駅前には何もないようなひなびた駅で、目の前にさえぎるものなく海を臨むことができる。風光明媚とは、この景色のためにあるような言葉である。こんなところで風に吹かれながら朝な夕な海を眺めて暮らしたら、どんなに心楽しむことだろう。別荘なんて贅沢なことは言わないけれど、このあたりにアパートの一室でも借りて、週末を気ままに過ごしてみたい。 そんな妄想もつかの間、小田原あたりから海も見えずただひたすら眠ってすごす。行楽客の姿もまばらになり、するめとビールの残り香がする車内に、新人研修に向かう途中なのかスーツケースを持った新社会人や、営業途中のサラリーマンの姿が目立つようになる。私も途中駅で降りて温泉饅頭を手に職場へ。一応契約上最終の出勤日になるので、簡単に後片付けをしたり、ご挨拶をしたり。2ヶ月ちょっとという短い期間だったが、振り返ってみれば短いなりに思い出や歴史などがたまるものである。はじめる前はずいぶん迷ったが、今となってみると、人脈も世界も広がったし、やはり引き受けてみてよかったと思う。人生何一つ無駄なものはないのだなぁ、としみじみ。
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