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2002年10月23日(水) 情報操作?

田中さんは今回の上京で生まれて初めて「のぞみ」に乗ったのだという。そのことがさわやかな(というより、田中さんの庶民性を強調する)エピソードとして、新聞で紹介されていた。
それを読んで大学時代の友人Hを思い出した。彼は高校の修学旅行で生まれて初めて新幹線に乗ったらしい。附属中学からの持ち上がりの彼は、お金持ちの部類にはいる家の次男坊で、当時東京駅から数駅目の山手線内側に住んでいた。「なんでまた…」といぶかしむ私に、同級生達は言った。「今までは全部飛行機だったんだって」。

田中さんが今まで「のぞみ」に乗らなかったのは、例えば朝一番で東京で会議があるとか、その日のうちに京都に帰らなきゃいけないとか、スピードが要求されるような移動が今まで必要なかったからに過ぎないのではないか?もちろん「のぞみ」だと出張旅費に足がでるという説もあるし、あるいは田中さんが今まで5年も英国に住んでいて、その分まだのぞみに乗るチャンスが少なかったという可能性もある。

むかし読んだ心理学の本で、人間の先入観を利用してある人物の外見を偏った情報で描写するという実験の話があった。つまり、〇=好かれる要因、×=嫌われる要因として、
〇彼は白いシャツを着ている。
〇彼は犬が好きだ。
〇彼は歯並びがいい。
という情報と
×彼はしわだらけのシャツを着ている。
×彼は子供が嫌いだ。
×彼は歯を磨かない。
という情報をそれぞれのくくりで被験者に与えて「彼という人物」を評価させるのだ。結果は推して知るべしである。

白いしわしわのシャツを着て、犬が好きだけど子供が嫌いで、きれいな歯並びの汚い歯をしている人はいる。人間のある一面だけを取り出して、都合よく一つのモデルを作り上げる。そうすることによって人はなぜか安心するらしい。


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