WELLA
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1997年12月29日(月) 第3話 上海にて

我々は上海に居た。
トランジット で立ち寄ったのである。地上にいたのはたった40分。
しかしながら機上の人となって、有に一時間。いまだ上海機場(空港のことらしい)から離れずにいた。
こんなことならもう少し免税店を見て回りたかったものだ。これではトイレにいって、免税店をぶらぶらして終りである。

トイレといえば不思議な体験をした。
個室内にトイレットペーパーがないのである。洗面台の脇に普通のトイレットペーパーホルダーがあり、そこにセットしてあるペーパーをあらかじめとって、個室に入らなければならない。
当然、個室に入ったあとで足りなくなったではすまされない。どのくらいのペーパーを取得するか見積りの度量が要求される。大抵普段使っている量の1、5倍から2倍程度キープするものと思われるが、ここで、個人が普段どれくらいの量を使用するかが知れようというものである。
さて、私の前に並んでいた3〜4人の日本人たちは、それぞれ親の仇のようにぐるぐるとペーパーを手に巻き付けていった。ふむ。あれが標準使用量か。ここでのコメントは控えよう。が、なんとなく、古くはオイルショックの時にトイレットペーパーを、コメ不足の時には米を行列してまで買い占めた、日本人の国民性をもの語る光景であった。

ところで、免税店はさすがに中国である。
壁という壁には掛軸が陳列され、お茶、硯・筆、薬などがそれぞれ独立して売場をもっている。硯・筆の類の充実ぶりはみごとである。大小さまざまな筆や、携帯用の筆・硯セットやなどもある。未だに中国の人々はこんなに書に親しんでいるのだろうか。
薬売場には一頃流行した冬虫夏草や、痩せる石鹸などがある。石鹸の中にパンダの図柄が埋め込まれているところなど、土産物を意識していてほほえましい。怪しげな精力剤も多い。効用そのままの商品名もあり、赤面させる。
我々はタイガーバームを購入した。面白味はないがそれが一番安心である。海外で決まってコーラを飲むのと同じ理屈か。

それにしても、駐機場に1時間もいるというのになんの案内もないとは見上げた根性である。飛び立つのはいったいいつになるのか。
我々はなんのためにここに座っているのか、だんだんわからなくなってきた。


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