その次の週の土曜日も山下は菅野の家にいた。 菅野は佐恵子の結婚式に出掛けていた。
山下は先週と同じく菅野手帳を開き、中を確認して元の場所に戻した。 特別に増えた情報はなかった。 山下は思っていた。 「なぜ僕はこんなことをしているんだろう」と。 もしそこに新しい何かが書かれたことで自分にに何ができるというのだろう。
この盗み見る行為は基本的に誰にも公表できない行為であるので、 ここで発見する新たな情報により自分の心が揺らされ行動につながった時に、 その行動の根拠について質問されても自分は何も言えないのだ。
「なんであなたはそんな事をしたの?」 と問われても 「なんとなく」 というしかないのだ。
となると、この盗み見の行為自体どんな意味があるというのだろう。 結局、裏で動かれようとそれは事実でしかなくどうすることもできないのだ。
山下は冷蔵庫から紙パックのオレンジジュースを出しコップに注いだ。 そして、そのコップを持ってリビングのソファーに座り、テレビをつけた。
お昼のニュースは、先週の日曜日に最高裁判所内で起きた殺人事件について報道していた。 山下は一口オレンジジュースを飲み、テーブルに置いた。
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