菅野は友人席に座っていた。
披露宴はどこにでもある流れでスピーチがありクイズ大会があり御色直しがあった。 菅野は佐恵子の幸せそうな横顔を見て複雑な気分になっていた。 幸せな他人をみればいやがおうに自分の幸せを問わなくてはならないからだ。
「でも佐恵子は本当に幸せになれるのだろうか本当に彼で問題ないのだろうか?」 菅野は自らを考えるのを避けるために佐恵子の結婚について客観的に考えてみようとした。 確かに彼女も彼にも欠点はあるが、それが致命的なものに繋がらないような気もした。 即ち、どこにでもある欠点なのだ。 そう考えていて、そんなことを考えてる自分に対し、更に嫌な気分になった。
式の最後に、佐恵子は両親に対して手紙を読んだ。 内容はありきたりだったが佐恵子も両親も泣いていた。そして菅野も泣いていた。
その後、普通なら新郎側の父親にマイクが渡される流れだが、 そのマイクは佐恵子の父親に渡された。
予想してない流れに佐恵子は驚いたが、新郎も佐恵子の父も驚いていなかった。 2人は知っていたのだ。
佐恵子の父が会場係の者に合図を出すとスクリーンに映像が流れ始めた。
これまで佐恵子を撮ってきたビデオカメラを編集したものだった。 出産したての佐恵子を両手に抱えていたところからはじまり、お風呂に入れたりお箸の持ち方を教えたり運動会で親子競技でがんばったり勉強を教えたりという映像だった。
映像が終わり佐恵子の父は新郎に言った。 「自分なりに佐恵子をここまでしてきたつもりです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」 そして頭を下げた。
菅野は私もこうやって育てられたんだろうなと思っていた。 そして田舎の父親の顔を思いだした。 そしてその顔が語り出した。 「辛くなったらいつでも帰ってきていいんだぞ」
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