いつもの日記

2009年03月05日(木) ブレスト3:中山石井3

「しかしさ、現実はローンを抱えてせっせと家族の為に働いて、ちゃんとイベント時にはプレゼントして、だから家族円満で、で、たまには自分の為の娯楽がちょこっとできれば御の字なんじゃないの?俺は子供が2人もいるし、この状況じゃ俺は勝手なこともできないと思ってるけどね。たまのゴルフ位が生きる意味だと思ってるよ」
眉間にしわを寄せて石井は言った。石井の事は好きなんだけど、この顔だけはあまり好きになれないなといつもと同じように中山は思った。
「うん解るよ。で、でもさ、それで終わったんじゃつまらくない?そこに『危機感』を感じているんだな。僕は」と、真剣な表情で中山は言った。

ただ、言ったそばからその危機感がとても薄っぺらなものになって、消えてしまっていた。本当に危機感を感じている奴は、自分のようにうねうねうじうじ言ってないし、結局言い訳だけして色んなモノを先延ばしにしないし、他にも云々、、、と、思ったからだ。お菓子を食べながら「ダイエットしたいのよね」という太った女子高生と全く同じだなと、中山は心の中で一人で失笑した。

ただ、中山の眼は真剣で、それを受け止めたのだろう石井は、こう言った。
「OK。わかった。じゃあ今の服が小さいとしてみよう。そうすると、今の自分のサイズにあう服をみつけなきゃならない。なら、次に着る服のサイズやデザインは決まっている?」

「サイズとデザインか。。」
中山は腕を組んで考えてみる。いや考えるふりをしただけかもしれない。「サイズとデザイン」と心の中で反復しても何もイメージは浮かんで来ない。そして、ふと5年前の自分が新人の頃を思い出す。何も出てこないという状況なのに上司に「本当に他にないか?本当にそれでいいの?」と詰められた時のことだ。どれだけ自分を詰めても、何にも出てこないのだ。逆に、詰められることで集中力を失い、更に解らなくなるのだ。一般論として、見えてる人は見えてない人のことが解らないから、これは仕方ないことだろう。だが、だとしても、こういう時、上司はどうすべきなのか?正解を伝えてしまえば、良いのだろうか?
中山はその時の状況も反芻しながら、サイズとデザインについて考えていた。時間は17時34分を指していた。


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