おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ
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| 2005年11月19日(土) |
吉村昭『彰義隊』読了 |
本日は出勤日。そして今日の御題は「酒の粕」(いい加減に仕事しろよ俺)。酔っ払いの演技の基本になる噺である。どうもうけが悪いと思ったら今日びの若いもんは酒粕を焼いて食べたないとのこと。あんたらも昭和生まれなんだからあああ。 で、上述書読了。タイトルから彰義隊の激戦振りを期待してはならない。本作品の主人公は彰義隊たちが拠った徳川家の菩提寺である上野寛永寺の山主・輪王子宮能久。その名で分かるとおり皇族である。 彼はその立場と徳川家に忠義をしめさんとする彰義隊の志士達に好意を持ち、寛永寺を貸し与えたことから皇族ながら朝敵と呼ばれる立場になる。 彰義隊の敗北と共に宮も寛永寺を追われ、戊辰の動乱の中、流されるように東北に落ち延び、ついに新政府軍に帰順する。謹慎処分の後、皇族として名誉回復した彼は陸軍軍人になるべくドイツに留学し、日清戦争の最中、台湾で陣没する。 彰義隊については少し調べたこともあるので輪王子宮の名前くらいはしっていたが、こんな後半生を送った人物とは思わなかった。いやそれなりの人名辞典を引いたらこのくらいは出ているんだろうけど。 主人公・輪王子宮もさることながら彼の生涯の宿敵として立ちふさがるのが官軍の司令である有栖川宮。この人物も今まで単なるお飾りの対象としか考えていなかったのがこの作品では血肉の通った人間として描かれている。 もういいかげん掘り尽くされている観のある幕末の人脈にもまだまだ面白い人物はいるものであるな、と感心。 でもこのタイトル「台湾出征願いにも戊辰の朝敵の汚名を晴らしたい、とあったのでこの表題が妥当」とかいっているけど、やっぱ出版界の大人の事情というヤツだろうなあ。
追記.チンクアンタ新で良し、ていうか氏ね
べっきぃ
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