無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2006年11月11日(土) 『イッセー尾形のつくり方2006in博多』ワークショップ」三日目/懐かしい人々

 ちょっと計算してみたのだが、日記を更新していない間も、この日記には一日に約200人のお客さんがいらっしゃっていたのである。
 もちろん、殆どはGoogle検索によるイチゲンさんなのだが、アクセス解析を開いてみると、同人誌関係のキーワードで情報を求めている人がかなり多い。
「受け・攻め」書いとくだけで、客が増えるという寸法だ。中身を読んで頂ければ、検索者の方々は、多分、拍子抜けするか怒り心頭に発するかのどちらかになると思うが、そんなのは知ったこっちゃないのである。
改めて言うまでもないが、この日記のタイトルは『無責任賛歌』なんだからね(苦笑)。


 朝、NHK総合「おはようサタデー九州沖縄」(午前7:35〜8:15)で、イッセー尾形さんのトークが放送される。一昨日、収録されたばかりの新鮮な映像。ワークショップでイッセーさんが「歩き方」を指導している様子もチラッと放送。
 「みなさん、舞台に上がる時はもう無我夢中で、手なんかぶるぶる震えてますよ。私もそうですから」の言葉に、見ている私はほっと息をついて安心し、「苦労が増えたな」の言葉に頭を垂れる。
 「舞台の上ではみんな孤独なんです。けれども孤立はしていないんですね。みんなが支えているんですから」との言葉には感謝もしつつ、複雑な思いも抱く。

 今、ワークショップのみなさんと良好なコミュニケーションが取れているのは、「舞台」という共通のフィールドを持っているためのシンパシーが存在し、しかも個人的な利害関係が生じていないためだ。
 PPPの活動を通じても実感したことだが、正直、「金銭」などの問題が生じれば、100%人間関係は破綻する。それ以外の問題についても、今の仲間たちと、妙な利害関係が生じなければいいと、切に思う。
何分、私もしげ。も、親しくなればなるほど、相手に対して「手加減」ができなくなってくるのだ。


 休日なので、ワークショップには初めて昼の部から参加できる。
 2時からの開始なのに、しげ。は11時には出発しようと言う。天神まではバスを乗り継いで、多少渋滞があったとしても、45分もあれば余裕で到着する。
何と昨日までは2時間早く現地に着いていたそうだから、しげ。の不安神経症は、相変わらずよくなっていないのである。

 「ワークショップでお金がかかるから、今、病院で薬、もらっていないと」というしげ。は、夜も眠れず、今朝は父を店まで送る車を運転していて、舗道に乗り上げ、タイヤをパンクさせた。
 全然、シャレになってないのである。

 12時過ぎに家を出て、1時には会場のイムズに到着。
スタジオの前で、ぼんやりと待っていると、北九州ワークショップからの仲間のOさんとOさんがやってくる。
二人ともイニシャルはOさんだが、片方はワークショップのたびに痩せ、片方は太っている。ストレスの溜まり方も人それぞれだ(笑)。
 ほかにもOさんはたくさんいらっしゃるので、あとは役名やハンドルネームで呼ばせていただく。
 痩せたOさん(オチ婦長)は、今回、森田さんから一番ダメ出しをくらっているので、かなり気分はブルーらしいのだが、傍目には全然明るくてはきはきしていて、そんな風には見えない。だからまた森田さんにいじめられるのである。
人徳というものであろう(笑)。

 てっきり、スタジオで練習するものだと思っていたら、ホールの方がまだ使えるということなので、階下に移動。
なんと、今回は参加しないと仰っていた、小倉ワークショッパーズ(デパートの名前のようだが、命名は森田さんである)の、じり子さんとなつさんが応援にいらっしゃっていた。
 一週間北九州に通っていた私が言うのもヘンだが、よく福岡まで来てくださったと感激する。みんなフツーの人なのに、ワークショップを経験したあとはなぜかみなさん凛々しく見えるのが不思議だ。

 なつさんは、転職して来月からは植木屋さんだ。昨年は森田さんに「『影が薄い』って、自分のことを覚えて貰えなかったし、ダメ出しももらえなかった」と歯噛みされた女性だが、リベンジを図ったように今年は舞台で生き生きとした演技を披露された。
 この一年で見違えるほどに美しくなられている。森田さんにもちゃんと記憶して貰えて、声をかけられている。幸せそうな笑顔が一層美しく、これがワークショップ効果というものかと驚く。
 もちろんそれが、なつさんの中にもともと眠っていた何かが、呼び覚まされた結果であることは言うまでもない。


 毎日、新しい参加者があるが、どうやら公演当日、出演できる人員は20名ほどらしい。
 「期間も長いから、きっちりしたものを作っていきましょう」と森田さんが仰る。プレッシャーを感じていると、森田さんからいきなり「新しい人にどんなことをやるか説明してあげて」と聞かれる。しどろもどろになって、うまく答えられない。
 私が弁が立つとか、困った経験がないと勘違いしている人がよくいるが、私はおそらくはしげ。以上に対人恐怖症であるし、生活無能力者であると思う。
もっとも、そんなことを言えば森田さんには「抜け抜けと」と一笑に付されてしまうことが目に見えているが。

 今回のキーワードはどうやら「夫婦喧嘩」ということになりそうで、新しく来られた人にも森田さんは、昨日まで聞いていたように「両親はどんな喧嘩をしてた?」と聞かれる。
 言葉の応酬が激しい家庭、皮肉や愚痴に近い家庭、すぐに手が出る(夫からだったり妻だったり)家庭など、家庭ごとにケンカの仕方は当然違うが、みんなが喋っているうちに、何となくな「博多の共通点」みたいなものが見えてくる。

 「博多の人の特徴はね、大げんかした後で男が外に逃げ出しちゃうことね。田舎じゃね、逃げ出しても外に何にもないから、行くとこないのよ。俺、金沢だからさ、出て行きたくても外は寒くて、部屋の中にいるしかないのよ。で、結局、お互いだんまりになっちゃう
 このだんまりがよくないのね。昔は大げんかしてたら、近所の人がやってきて仲裁とかしてたけど、今はほったらかしでしょ? 黙ってたら別れるしかないもの。だから、このだんまりの先にあるものを見つけようよって、そういうことを目指したいの。それが『演劇』の目的なのね」

 「演劇」は「人生」に重なっているのである。
 私もそうだが、「映画」や「演劇」に興味を持てない人を人として見られないのは、本当に「人」を感じないからなのだ。

 森田さんの「演説」がひとしきりすんだので、再びスタジオに移動。
 「何でもいいからデタラメを言ってみよう。デタラメを言うにはどうしたらいい?」と森田さんが問いかけると、なつさんが「ともかく『ハッタリをかます』というのはどうでしょう」と即座に答える。
 本当に頭が切れる方だ、と感心する(惚れてるわけではないので、勝手に憶測をたくましくしないように)。

 円陣を組んだ一同が、次々に適当なハッタリをカマしていくが、いかにも本当らしく聞こえる人、ウソっぽい人、個人差が激しい。
 じり子さんの「2ちゃんねるで本名バラされちゃってえ、それはいいんだけどぉ、『じり子さんですね?』って声かけられるようになったのがウザくてぇ」などは、本当にそういう経験があるようにしか聞こえなかった。
 これが別に演劇経験があるわけでも何でもないシロウトさんがされているのである。うまい、へたではなく、他人のイメージを借りると、これくらいのことは簡単にできるようになるということなのだ。

 「じゃあ、そろそろ舞台の練習をしてみようか」の森田さんの掛け声で、椅子が四つ、いつもの舞台同様に並べられる。
 昼の部は女性の方の参加者が多いので、「夫婦」を演じるとなると、どうしても同じ男性が何度も引っ張り出されることになる。
 何人かの女性が、「草莽の志士さん」を相手に愚痴を言ったりするが、「喧嘩」にまでは昇華しない。
 「ほら、それじゃ、もう男を許しちゃってるでしょ? それじゃ続かないのよ」
 「そこは『ゴメン』じゃないなあ」
 回りに鼻歌を歌わせたりして雰囲気を作ろうとするが、なかなか乗ってこない。去年に比べれば森田さんのダメ出しの口調は優しいが、「よくない」という意志は明確で、妥協はない。
 「舞台で上がらないようにしようって、それだけなのよ。うまくいかないのは、借りてるイメージの人が違うだけだと思って。別の人を探してみてね」

 私の番が回ってきて、先ごろ離婚したばかりという女性と組まされる。
 「夫は、初めは黙っていてね」と言われるが、いずれ何かを応対しなければならない。もちろん、どうするかは考えてはいない。私が考えているのは、「父のイメージ」を借りることだけだ。
 ところが、この女性が殆どマシンガントークのように、酒飲みだの外泊するだのと、私への非難を口にし始めた。その勢いがものすごかったので、森田さんの合図があった途端、自然に「せからしか!」と声が出る。
 あとは、もう自然な「博多人」の口論。もちろん、夫の方がちょっと負けているのだ。

 次もまた別の女性と組むが、森田さんから「また別の対応をしてね」との指示。それは相手次第なんですよー(涙)。
 ところがこちらは別の攻め方で、一人勝手な愚痴ばかり。また自然に「何が言いたいとや?」とセリフが出てきて、「あんた臭い!」と言われた途端に「男は臭かと!」と反論している。
 見ていたみなさんから、拍手が起きた。

 森田さんが「ね、いかにシナリオライターがウソをついているか、分かるでしょ? これが文化なのね」と仰る。
 ドラマのライターたちが、リアルなセリフが書けなくなっているのは、私も実感しているが、これはもうどうしようもないことかと諦観もしている。だから殆どの 映画や舞台を、私は「ツッコミ」することで楽しむしかなかったのだ。
 けれども、「こういう方法もある」ということを、演劇人はもう少し考えてもいいのではないか。

 私が「劇団四季」とか「ギンギラ太陽S」をどんな悲恋ものや感動ものでも笑ってしかみられないのはそういうことなのである。
 四季出身のさー、カガタケシとか、イチムラマサチカとか、ヤマグチユウイチローとかさー、フツーの芝居の中に入ると浮いてるだけだってのがわかんないのかねー(笑)。

 いかんなー。やっぱり「無責任」書き出すと長くなるわ。
 時間がなくなったので、夜の部の内容が書けなくなったが、かいつまんで。

 続けて「夫婦」の舞台を練習するが、またうまくいかなくなって、円陣に戻す。
 「誰かの悪口を言う」練習。
 痩せた人の悪口や太った人の悪口。
 ただの悪口ではなく、「言葉を工夫し、文化度を高める」ことを要求される。  「シチュエーションは最後に作るから、まずは言葉を考えて」。
 しげ。が「インド人野郎!」と言った途端に、全員の目が私に向いて、笑う。
 私はどこかインド人っぽいらしい(笑)。


 最後は歩き方を練習して終了。
 明日もまた。昼からだ。

2004年11月11日(木) ホームページ消失!?(°°;))
2002年11月11日(月) 爆走� 織▲縫瓠悖丕稗腺裡蓮拌莪賚叩拭愡�代劇マガジン』vol.1
2001年11月11日(日) 日記・日記・日記/アニメ『サイボーグ009』第5話/『八犬伝』13巻(碧也ぴんく)ほか
2000年11月11日(土) 今日はなんだかイタイ話ばかり/『ZERO』(冬目景)ほか



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