無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年02月08日(金) サルでもわかる『ハリポタ』/『パワーパフガールズ』2巻(クレイグ・マクラッケン原作)ほか

 岡田斗司夫さんのオタク日記に、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』についての批評が書かれているのを読む。
 岡田さんがお気に召すほどのものではないよなあ、というより、ハナシのタネ以外にわざわざ見に行ったりはしないんじゃないか、と思って読んでみたら、予想通り、誉めてない。
 「定番通り」「わかりやすいだけ」って批評は岡田さんでなくてもできるが、『スタートレック』と対照させて、「SF及びファンタジーの発展の歴史を逆転させた」と切って捨てているのは、岡田さんならでは。
 今や、SFの歴史的俯瞰に関しては、岡田さんくらいしか語れる人はいなくなっているのではないか。知識的な権威はいくらでもいるが、歴史の批判的検証については、どの評論家の批評もすっかりヌルくなってしまっているからである。巽孝之さんの文章が物議を呼んだのももうだいぶ前だしなあ。
 もちろんそれは、SFやファンタジーの権威を高めようと、「なんでも誉める」池田憲章の戦略でもあった。けれど、現在の眼で見れば、その罪もやはり大きかったのだとは言えまいか。
 結果的に、SF、ファンタジーのフォーマット自体が適当かついい加減なものにしか認識されなくなり、オタクどうしの相互の会話がかえって不可能になる弊害が生まれちゃってるんである。
 簡単に言えば「『ハリー・ポッター』は果たしてファンタジーか?」という議論自体が成り立たなくなってるんだよね。「別にそんなんどうでもいいじゃん」ってことになっちゃってね。
 でもね、批評不在のジャンルに未来はないのよ。
 あえて「ハリー・ポッターは本当におもしろいのか?」ってのを読者論の観点からも見直して行くこと、必要になってくんじゃないかと思うけどね。
 ヌルい批評に馴れきってる若い人は、岡田さんの批評、的を射ているだけに、その舌鋒の厳しさに反感を抱きそうな気がする。なんたって岡田さん、ハッキリと「『ハリー・ポッター』見ておもしろがるやつはバカ」って言ってんだから。
 ……すんません、ちょっとおもしろかったっス。
 だってハーマイオニーかわいいし(^_^;)。
 とりあえず私も日本のSFと海外のSFと日本の幻想小説と海外のファンタジーには弱いので(全部やんか)、少しずつでも読もう。
 『ゲド』も『指輪』も、中学高校で読んだはずなのに、中味をスッカラカンに忘れてるし。


 アニメ『クレヨンしんちゃん』は、「サボテンの花が見たいゾ」「試験の前は眠れないゾ」の二本。
 映画の予告はもう始まってるけど、多分まだ絵コンテ全部上がってないんだろうな。でも作画にはもう入ってるはずである。
 こんなムチャクチャなスケジュールで毎年水準以上の作品を作ってんだから、シンエイ動画のスタッフ、すごいよなあ。
 「サボテンの花が見たいゾ」。
 園長先生ネタは毎回定番の「怖い顔」だけど、原作にあった頬のキズアト、アニメじゃ描かれないよなあ(原作でも最近は描かれてない)。
 もうすぐ花の咲くサボテンを見ながらニコニコ顔の園長先生だけれど、カザマくんが自転車にはねられそうになったのを、とっさにサボテンの鉢植えを投げつけて助けるという話。
 この投げるシーンの作画がまたスローモーションとコマ落としの組み合わせで凝っててさあ、こういう『しんちゃん』の作画研究、ファンはもっとアピールしてってほしいんだけどなあ。
 「試験の前は眠れないゾ」。
  極度のあがり性の四郎くんをどうやったら眠らせられるか、野原家があの手この手を考えるって話。これもよくある「眠るための方法」ネタだね。
 実際にはどうやっても眠れないって結末はわかってるんで、それをディテールでどう見せるか。
 しんちゃんの「レースクイーンを数えよう!」はそりゃかえって眠れなくなるわなあ(^^)。でも「かあちゃんを数えよう!」で四郎くんが吐き気を催しちゃうのはみさえさんに悪いぞ。
 うーん、みさえさんは美人じゃないってのがあの世界ではお約束なのかなあ。ムネなしケツでかはわかるが、みさえさん、美人なほうだと思ってたんだが。ならはしみきさんの声も好きだし。
 ななこおねいさんが黒髪だったけど、前からそうだったっけ?


 夜食(と言っても実質上の晩飯)、今日も、しげが「びっくりドンキー」に行きたいというのでつきあう。
 けれどさすがに今日は「びっくりコーラ」は飲まず。
 ハンバーグの種類が多く、最初はフルーツハンバーグを頼もうかと思ったが、迷ってスパゲティハンバーグに鞍替え。
 まあ、迷うっていっても、しげのように食ったあとまで未練たらしく「あっちのほうがよかったかなあ」とかブチブチ文句を言い続けることはしないので、あっさりしたものである。
 けど毎日夜中に20分もかけてハンバーグ食いに行かんでも、近場でどうにかならんものなのかね。


 夜中の3時ごろか、いきなりしげに起こされる。
 なんだか急に買い物に出かけたくなったらしいんだが、だからと言って、寝ている私まで起こさなくったってよう。そっと寝かしとくくらいの優しさがほしいぞ。もちろん「勝手に行け」と断るが、寝ている途中で起こされたので、また体調を崩してしまった。
 こういう迷惑かけるの、やめてほしい。マジで。


 マンガ、竹本泉『しましま曜日』2巻(エンターブレイン・780円)。
 リニューアル版完結編。
 でも後書きは新作なんでそれだけのために買う。
 だってよう、『あおいちゃんパニック』も『あんみつ姫』も元版持ってるからってリニューアル版買わなかったら、今になってほしくてほしくてほしくてほしくて、でももう手に入らないんだよう。
 「服に着られる女の子」って設定、確かにおいしーよなー。
 一幕の舞台劇にもできるしなー。でも一番向いてるのは連続テレビドラマだろう。とり・みきの『くるくるクリン』みたいな感じで、毎回キャラクター変えられるからねえ。
 一見SFとはなんの関係もないようだが、これ、ネタ的には『ねこめ〜わく』と共通してるのだ。人間はアイデンテイティを確立できないと「模倣」という行為に出るものだからね。
 だからして、『しましま』はそうは見えないかもしれないけど、ちゃんとSFなんですよ。
 知ってる人は知っている、今、日本でSF漫画の王道を描いてるのは竹本さんなんである。
 ……2巻ぽっちじゃやっぱり少ないぞ。もっともっとSFなゆかりとかSFなゆかりとかSFなゆかりとか描いてほしかったのにな。


 マンガ『コミックねこだけアンソロジー ねこミックス』vol.2(宙出版・730円)。
 まあ、『ねこめ〜わく』以外はパラパラとしか読んじゃいないし、多分、これ買ってる読者の大半がそうじゃないかとは思うんだが、とりあえず2が出て3の予告も載ってるってことは売れたんだろうな、よかったよかった。
 これで『ねこめ〜わく3』が出るのも早まるね。
 でも、今回の新作、『ねこめ〜わく……よりより』の「よりより」って何?
 お話はやっぱりマイヤーにだまされた猫たちが「サボテン市」をサボテンの仮想をする祭と勘違いしちゃうっていつものパターンなんだけど、やっぱりさりげなく竹本さんのSF魂はキャラクターのセリフなんかに現れてる。
 「自分たちがしていることが妙なことだと判断できるかどうかが知的生物かどうかの分かれ目になるのだ。その判断が自分でできなければ意味ないだろう」
 ハッキリとは書いてないが、これ、明確な宗教否定。
 「盲信は文明ではない」と、竹本さん断言しちゃってるのだ。
 そう考えるとこの地球上に、下等動物がどれだけ充満していることか。


 マンガ、クレイグ・マクラッケン原作『パワーパフガールズ<DCコミックス版>』2巻(小学館・788円)。
 オフィシャル・コミックも2巻目で、今回も5話収録、オールカラー。
 わざわざ「DCコミックス版」と銘打ってるのは、なにか他の版があるのかね? 日本だけで作ってるやつとか。
 でも今回は原作者のマクラッケン氏、1巻のときみたくストーリーの執筆まではしてない。向こうの連続ドラマも、原作者はフォーマットを作るのみで、実際の作劇は個々のライターが、ってことになることが多いみたいだから、しかたがないのか。

 でもギャグの過激さは特に薄まっちゃいない。
 第1話、「アブないテレビゲーム」で、モンスターに破壊されるタウンズビルの街を見ながらユートニウム博士のいうセリフがいい。
 「銀行が襲われた! ポーキーオークス幼稚園が襲われた! でもそんなことより許せないのはアンチョビ工場が襲われたことなんだ!」
 ……あ〜、そんなに好きですか、アンチョビ。
 解説によれば、アンチョビはアメリカじゃ人によって好き嫌いがすごく激しい食材らしい。塩辛くてサカナ臭くて。
 てことは、博士ってやっぱりちょっと偏ったシュミの持ち主らしいね。

 モジョが妖精に変装する話とか、ビジュアル的にすごい話も収録されてるんだが、圧巻は第4話の『おいでよハッピーランド』。
 バブルスが夢中になってる子供番組の『ドクターポッポのハッピーランド』、この番組が急に「おカネを送ってちょ! よい子のみんな!」とヘンなキャンペーンを始める。実はドクターポッポは悪人だったのだが、それに乗せられたバブルス、街中からおカネを盗んでスタジオまで運んで行く。
 それをたしなめるブロッサムのセリフが、ユメもチボーもないったらない。
 「バブルス!? ここにあるものは全部作り物なのよ! ドクターはね、俳優がお芝居してるだけなのよ!」
 あー、なんだかオタクに聞かせたいセリフですねー。『サタデーナイトライブ』でスタトレイベントに集まったトレッキーズに向かって、ビル・シャトナーが「夢から覚めろ!」って言ったギャグを彷彿とさせるねえ。
 「子供番組なんかいい加減で卒業しろ!」ってブロッサムに言われちゃコタエるよな。
 でも、この『パワパフ』のオチがすごいのは、そう言って説教したバターカップとブロッサムが、二人揃ってやっぱり子供番組の『カラテ・カルロのクラブハウス』にハマっちゃってるとこ。
 例えて言えば「『忍風戦隊ハリケンジャー』なんて見るなよ! オトナなら『仮面ライダー龍騎』を見ようぜ!」ってなもんか。……たいして進歩しとらんわ。
 コミカライズだからって馬鹿にしちゃイカンよ、『PPG』ファンならコミックすも揃えるべし。DVDボックスはいよいよ3月13日、『ブロッサム缶』がダッコちゃんつきで発売だ。


 マンガ、駒井悠『そんな奴ァいねえ!!』7巻(講談社・570円)。
 考えてみたらオタク系のマンガの多い『アフタヌーン』にこのマンガが載ってるって、違和感ないのかな。
 ギャグマンガとしても似たようなネタが増えてきてる感じで、ちょっと煮詰まって来てるし。
 ダジャレ率が増えてきてるのも気になるなあ。今更、ダジャレはダジャレ単体ではギャグにならないってのは誰しもわかりきってることだけど、それをギャグとして成立させるためには、そのしょーもなさを他のキャラにどう受けさせるかってとこに作者の技量が現われる。
 それがもう、みんな疲れ切ってるだけだし。

2001年02月08日(木) ザッツ・エンタテインメント!/2000年度キネマ旬報ベスト・テン



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