無責任賛歌
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|藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年02月08日(木) ザッツ・エンタテインメント!/2000年度キネマ旬報ベスト・テン

 目覚ましを7時にしかけて置いたのに、いきなり6時ごろ女房に起こされる。ずっと一人で夜通し起きていたので、さびしくなったものらしい。
 「起きてる〜?」日頃は無愛想なのに、こういうときに限って女房は猫なで声になる。起きてるもなにも、今お前が起こしたんじゃ。テメエの都合で人の睡眠時間削るな。せっかく早寝してもこれでは何の意味もない。
 風邪はどうした、もう治ったのか……って、夜通しパソコンやってたんならもう健康じゃねーのか。女房、しきりと「腹が痛い腹が痛い」と繰り返すが、かと言って、私にどうにかできるわけじゃなし、甘えてこられても「寝てろマヌケ」としか言えん。

 で、やっぱり寝るのである。いかに女房が否定しようと、一日の半分、女房が寝て過ごしていることは紛れもない事実である。

 『キネマ旬報』2月下旬号、恒例のベストテン発表。
 もともとベストテン的なものは流行やムードに左右されるもので、大した価値があるとも思っちゃいないが、それにしてもベストテン上位に見てない映画が並んでいると、ああ、これも見逃してたかと何となく悔しい気分になってしまう。

 日本映画ベストテン
 1『顔』
 2『ナビィの恋』
 3『御法度』※
 4『十五才 学校�検�
 5『バトル・ロワイアル』※
 6『三文役者』
 7『スリ』
 8『独立少年合唱団』※
 9『雨あがる』※
 10『はつ恋』

 外国映画ベストテン
 1『スペースカウボーイ』
 2『オール・アバウト・マイ・マザー』
 3『あの子を探して』
 4『初恋のきた道』
 5『ストレイト・ストーリー』
 6『アメリカン・ビューティー』
 7『マルコヴィッチの穴』※
 8『グラディエーター』
 9『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
 10『ペパーミント・キャンディー』
 
 『三文役者』のように、やっと今月になって福岡公開という作品もあるにはあるが、※印の映画しか見てないというのはいくらなんでも少なすぎる。これで映画ファンだなんてとても口幅ったくて言えやしない。
 しかし女房が興味を持った映画を優先的に見に行っているので、ベストテン作品が少なくなるのも仕方ないのである。何しろ女房ときたら、映画に関しては思い切りマニアックな趣味をしている。数えてみたら、去年は洋邦合わせて50本は映画を見ているのに(邦画28本、洋画27本)、それでなぜこうまでベストテンを外すか(^_^;)。
 ついでだから、私も勝手に2000年ベストテンを、見た範囲の中から選んでしまおう。

 日本映画
 1『博多ムービー ちんちろまい』
 2『ジュブナイル』
 3『人狼 JIN-ROH』
 4『雨あがる』
 5『御法度』
 6『バトル・ロワイアル』
 7『BLOOD THE LAST VAMPIRE』
 8『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』
 9『ブギーポップは笑わない』
 10『さくや 妖怪伝』
 次点『クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶジャングル』

 完成度は二の次というのは、1位を見ていただければ分るであろう(^o^)。実際、こんな局所的なウケをねらった(しかも博多人にはウケても福岡人にはウケないであろう)映画が、全国のベストテンに入るわけがないのだが、こんな「作ったもん勝ち」の映画が存在し得たこと自体、前代未聞の大事件なのである。
 大阪や名古屋や札幌が映画を作った場合、それはその地域を拠点としてはいても、他の地方、ひいては世界に通じる映画を作ることができるであろう。しかしハカタにはできない。ハカタにグローバルな映画を作ることは金輪際できない。なぜならハカタは既に世界の中心だからである。……こんなバカな意識で作った映画なんて、恐らくはヒトラーの(とあえて言うが)『民族の祭典』以来だ(^_^;)。
 これに対抗できる映画を作れる国といえば、今や世界ではたった一つ、おとなりの……。ああ、むにゃむにゃ(-_-)zzz。
 2位以下は、欠点はあっても、「ここがいい!」と言える映像があるものを選んでいる。『さくや』などは松坂慶子が出ていなければ、そして私が安藤希ちゃんに握手してもらわなかったら、ベストテンにすら入らなかったであろう(^_^;)。

 外国映画

 1『サウスパーク 無修正映画版』
 2『マルコヴィッチの穴』
 3『マン・オン・ザ・ムーン』
 4『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
 5『スリーピー・ホロウ』
 6『リプリー』
 7『チャーリーズエンジェル』
 8『トイ・ストーリー2』
 9『ゴージャス』
 10『アイアンジャイアント』
 次点『アンドリューNDR114』でも『M:I-2』でも『インビジブル』でも『X-メン』でも『ファンタジア2000』でもどれでもいいや。

 『13デイズ』や『サイダーハウスルール』、『クッキーフォーチュン』なんかは迷った末落とした。
 しかし芸術映画や感動大作とやらに見事に無縁なベストテンである。『スペースカウポーイ』や『ダン・イン・ザ・ダーク』くらいは見に行きたかったんだが、女房が食指をピクリとも動かさなかったものなあ。まあ、それもよし。「映画は娯楽」というのは先祖代々の我が家の家訓であるし(いやホント)。
 でも私がいくら「バカ映画」が好きでも、『最終絶叫計画』や『ブレアウィッチ・プロジェクト』などはゴメンなのである。小学校の学芸会以下のレベルのギャグセンスやアイデアで映画を作られても、わしゃ笑いもせんしウケもせんよ。
 しかし『キネ旬』のベストテン、ジャッキー・チェン映画を全く無視してるってのは許せんな。『ラッシュ・アワー』も『シャンハイ・ヌーン』も一票も入ってないぞ。これって、映画をエンタテインメントとして評価しようって連中が殆どいないってことじゃないのか。恥だとは思わんのかなあ。

 ついでに、昨年物故した映画関係者のベストテン(^_^;)。
 もちろん、これも独断(好み)によるもので、あえて外した人も多々ある。チャールズ・シュルツ氏のようにアニメの脚本書いてても本業はマンガ家、という人も外した。

 1/30 御園京平(80)チラシ、ポスターその他、あの膨大なコレクション、どうなっちゃったかなあ。
 2/26 高原駿雄(76)クシャミ3回ルル3錠のおまわりさん。顔見ればすぐ分る、名バイプレイヤーの一人でした。
 3/24 小松原一男(56)『ナウシカ』に参加したことで才能をつぶされた気がする……。
 5/10 塩沢兼人(46)『ついでにとんちんかん』の再放送、今やってるんだよなあ。辛くて見られん。
 8/5 アレック・ギネス(86)「リタって呼んで(はあと)」誰もかの名優をコメディアンとは呼ぶまいが、コメディ演技を含めて、「どんな役でも演じられる」ホンモノの俳優はこの人くらいのものだったと思う。
 8/6 谷村昌彦(73)この人の顔と「訛り」を知らない人は日本にはいない。けれど名前を知っている人はとても少ない。でもそれが役者の誇りになることもあるのだ。
 9/20 徳間康快(78)『アニメージュ』はなんで徳間社長の追悼特集をしなかったのかな。社内的には嫌われてたのかもしれんが、その功績は正統に評価すべきではないのか。
 9/23 工藤栄一(71)時代劇を撮れる監督がまた一人行っちゃった……。昨年は時代劇作品が多かったように見えるが、実は生え抜きの監督は一人もいなかったのである。
 11/9 東千代之介(74)この人が晩年、映画やドラマに出なかったのはあまりにもったいないことだった。『バトルフィーバー』鉄山将軍役すら今の若い人は知らない。『紅孔雀』の浮寝丸の気品など、今の俳優には逆立ちしたってマネできんぞ。
 12/3 福田純(77)本多猪四郎の名声の陰に隠れて、あまりに評価が低すぎるように思う。音楽でも伊福部さんとあまり組めなかったのが不運だったように思う。

 帰宅すると珍しく女房が起きている。どう言うわけかと聞いてみると、いきなり目の前の棚に、20センチほどの高さの箱をポンと置く。
 「何それ」
 「いらんならやらん」
 「何だかわからんがもらおう」
 「……バレンタインの付録」
 箱をよく見ると、例のフルタの「百鬼夜行」シリーズの特別版、「赤鬼」「青鬼」セットである。
 ……こりゃ驚いた。ホントに驚いて声も出ない。あれだけ私のコレクションに文句をつけていたというのに、いったいどういう風の吹きまわしだ。
 マジで「ありがとう」のヒトコトも言えず、私が硬直したままなので、女房は不満顔である。かと言って「わぁい。嬉しいなったら嬉しいな」なんて踊り狂うわけにもいかんが。
 「……開けないの?」
 「ああ、あとで見る」
 そう言うのが精一杯で、箱を脇にどけた途端、女房、
 「ちぇっ、つまんない」
 そう言ってまた布団の中に潜りこんで行った。ホントにそれだけのために起きて来たのか。

 女房、一瞬の後にはもうイビキをかき始めている。改めて箱を開け、中身を確かめる。うわあ、赤鬼と青鬼、お釈迦様を金棒で踏み敷いてやがる。要するに天邪鬼を踏み敷く毘沙門天の逆ポーズなわけだな。相変わらず芸が細かいなあ。
 人形の造形もさることながら、付録がまたすごい。
 オフィシャルブックは第1、第2弾両方の妖怪全作の写真に加え、解説も充実、田島昭宇ほかゲストマンガ家のイラストまで付いている。解説(「妖怪ポスト」というタイトルが心憎い)によれば、フィギュアのパッケージにあった「お払い済み」というのは本当で、「門真神社」と「安倍晴明神社」で本当にお払いしたあと出荷しているそうで……気が入ってるなあ(^_^;)。
 京極夏彦謹製の「妖魔退散」お札に、各種絵はがきもブラックジョークが効いている。「泥田坊」に「ハッピーバレンタイン(はあと)」なんて言われたって嬉しかないぞ。
 ああ、しかも更にスペシャル版として「妖怪船」の発売だと?! ……誰が買うんだこんなもん、と実は内心では思っていたのだが、確かにヒットしているのだなあ。
 愛想のない夫で悪いが、本当に嬉しかったのだ。ポーカーフェイスの夫と結婚したのが身の不運と諦めてくれい。

 女房は今日、本当にどうかしている。冷蔵庫にビーフシチューパイや、キーマカレー(ナン付き)まで用意している。たまに親切にされると、不幸の前兆のようで怖いなあ(^_^;)。 

 阿部ゆたか・丸伝次郎『名探偵コナン特別編』12巻読む。多分学年誌か何かに連載されてるんだろう。現物にあたったことがないので何とも言えんけど。でも明らかに小学生向けで、まともにミステリーとして評価するのは酷というものだろう。小学生へのミステリ入門編としてはまあ、そこそこの出来である。

 CSで録画しておいたニュー東映、近衛十四郎版『柳生武芸帳』見る。今時の若い奴らあ、柳生十兵衛といえば千葉真一くらいしか知らんのじゃないかと思うが、鞍馬天狗がアラカンであり、旗本退屈男が市川右太衛門にトドメをさすがごとく、十兵衛といえば近衛十四郎であったのだ……って、知識では知っていても見たことなかったのよ。だからこそ見たい見たい見たいと何十年も思い続けてやっと見られたと言うのに……。なんだこのトリミングは。最悪なんてもんじゃない、シネスコサイズをぶった切ってテレビサイズに合わせたのは仕方ないとしても、誰もいない画面を映してどうする。昔のテレビにはよくあったが、今時こんな酷いトリミングしてたら放送局は苦情と抗議が殺到するのではないか。パンするくらいの芸当はできんかったのか。
 肝心の中身はというと、五味康佑原作による正編であるにもかかわらず、十兵衛の両目が明いていたり(史実ではそうだったらしいが)、違和感が相当にある。と言うか、十兵衛シリーズが本当に面白くなったのは原作無視の展開になってかららしいし(映画って大抵そうだよな)、あと何作か見てみないと、評価は下しにくそうだ。史上最強の殺陣、と言われた動きも狭いテレビ画面じゃとても堪能できない。……でも十兵衛のライバル、霞の多四郎が品川隆二というのは、後年の『素浪人月影兵庫』を髣髴とさせて嬉しいキャスティングだった。

 気がつくと12時過ぎ。ああ、早寝し損ねた。女房ショックのせいだな(^o^)。



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