無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年01月28日(日) 宴のあと

 居間で寝るとさすがに寒い。というか、居間で落ちただけだけど。
 どうやら寝ている間に女房がタオルケットをかけてくれたらしいが、屁のツッパリにもならん。寒さで目覚めると6時。予定より早起きである。昨日の夜は日記を書けなかったことでもあるし、パコパコとキーボードを叩く。
 7時過ぎ、女房とよしひと嬢、起きてくる。7、8時間は寝ていただろうか、公演前で眠れないかと思ったら、そうでもないようだ。さすがに二人ともベテラン、度胸が据わっている。

 女房とよしひと嬢は現場に先発。私は今日も使いっ走りである。近所のほか弁でスタッフ分の弁当を取ってくるように女房から頼まれる。何の気なしにいいよと引きうけたら、軽く40食分くらいある。……「バスと地下鉄乗り継いで来い」って、こんなん持って乗れるか。タクシーでアクロスに乗り付けると、8時30分、もうメンバーはほぼ揃っている。
 ふなちゃん、眠りながら何が嬉しいのか笑っている。
 赤ん坊が表情を出せるというのはどう言うわけかな、と言うと、女房が「やっぱり真似をしているんだよ」と言う。塩浦嬢は「マネですかねえ?」と疑問顔。女房が「生まれつきだったら、例えば、ニヒルに赤ん坊が笑ったら怖いじゃないスか」と言った途端、鴉丸嬢が、「こんなか? ……フッ」と、顔マネをする。……これが、いかにも赤ん坊がホントにニヒルに笑うような感じでウマイ。こういう「動き」の突っ込みが出きるところ、鴉丸さんもコメディの脚本書ける才能あると思うんだがなあ。
 とか喋ってるうちに、9時にアクロスの方が円形ホールの鍵を開けてくれる。
 ……さあ、いよいよ準備だ。ってところで続きはまた明日書くっす。今日はもう眠いんで。

 んで、続き。
 荷物を運びこんだあとは、メンバーのみんな、めいめいに準備を始める。
 演出の鴉丸さん、昨日のうちにホワイトボードに日程表を書きこんでいるので、それを覗くと、本当に細かく数十分刻みで本日の予定が書かれている。
 「通しリハーサル、午前1回、午後1回」。……無理じゃねーかあ?(・・;)……と思っていたら、ホントに無理だった(^_^;)。時間に余裕があるようでも意外とバタバタしちゃうものなんだよなあ、そこがどうしても素人の限界って気はする。
 私はビデオカメラのセッティングをしたらあとはする事はない。……はずだったのだが、隣のベスト電器に電池だのなんだのと何度も買い出しに行かされる。年寄りをあまりコキ使わんで欲しいなあ。
 今一つ眠りが足りない気がしていたので、円形ホールの床にゴロリと寝転がる。女房が「ちっ。こいつ寝てやがるぜ」と舌打ちして横を通りすぎる。本番の最中にウトウトしたらマズイから今のうちに寝てるんだよ、と言い返してやろうかとも思ったが、言い訳じみてるので止める。ホントにただ寝てただけだし。塩浦嬢に死体と間違えられてハラをつつかれた。……なんか塩浦嬢にはいつかもハラをつつかれたことがあるような気がするが腹フェチか。

 12時、友人のこうたろう君から携帯に電話、福岡空港に着いたとのこと。
 うわあ、東京から本当に来てくれたんだ。何だか信じられないなあ。
 午後の通しリハは2時からなら、充分余裕があるな。それまでに帰って来れればいいか、といそいそと出かける。
 地下鉄中洲川端駅で待ち合わせる。再会、開口一番のこうたろうくんの挨拶が「メールでしょっちゅうやり取りしてると久しぶりって感じがしないな」……うーん、実はこちらからはここしばらくメールを送ってないのでなんとも面映い。
 リバレインの「柳川屋」で話題の(^o^)「櫃まぶし」を食べる。東京人のこうたろうくんの口に合うかどうか心配だったが、美味しいと言ってもらえてホッと胸をなでおろす。

 こうたろうくんを円形ホールに案内して、「どうだ、ここがあの『エクセルサーガ』の『アクロス』本部だ!」……まあ、あまりそういう紹介のし方を世間の人はしないだろうが、オタクは地方都市を全てそういう観点で見ているものである。西鉄福岡駅や城山ホテル(元某ビール)はラドンが襲った場所として有名(^o^)。
 こうたろうくんもノリがよく、床を見て「穴はそこか?」(^o^)。こういう会話ができるのがオタクの醍醐味というものであろう。

 こうたろうくんが市街征服のための散策に出ている間(^o^)、リハを撮影しつつ、カメラポジションを模索する。前半は上手側から撮った方がいい絵が撮れるのだが、後半は下手から撮らないと絵にならない。迷った挙句、下手から撮ることに決定。ああ、やっぱりもう一台カメラが欲しいなあ。……って、多分次回公演のときにゃきっとそうなってんだよ。

 開演時間がいよいよ近づく。劇団CASTの藤井さんから祝電が届く。ああ、こういう繋がりが増えるのがネットのいいところだ。マスコミは未だに孤独なオタク連中の閉塞的かつ淫靡な遊びのようにネットを報道することも多いが、どんな技術だって、結局は使うものの知恵次第だ。……ということも私はアニメやマンガで学んだ(^o^)。オタク万歳であるヽ(^。^)ノ。
 直前になると、もうキャスト、スタッフはピリピリしてくる。用事のないヤツが楽屋をウロチョロしてるのは顰蹙ものなので、立ち入らない方が無難。ひたすらカメラチェックに専念する。
 もう一台のカメラ撮影をお願いしたロデムさんと打合せをしながら、次の公演に使うかもしれないシノプシスを見せてもらう。正直言って、使えないヤツだったらなんて言って断ろうかと思ってたんだが、とんでもない。シノプシス段階でも充分面白く膨らませることが可能な設定である。しかも「今度はオムニバスにしようか」と女房とチラホラ相談していたのだが、ズバリそのもの。……シンクロニシティってあるよなあ。改作の許可も得たし、もしメンバーのみんなの興味を引けたら、これで行けそうな気はする。
 今度のは難しくないぞ。演劇集団 P.P.Produce初の感動大作になるやも知れぬ。

 客入れが始まる。まあ身内の関係者が殆どだが(^_^;)。
 AIQからもHさん、Tさん、見に来てくれる。ああ、ありがたい。
 よしひと嬢のお友達もお二人、わざわざ北九州から来てくれる。ああ、ありがたい。
 福岡シンフォニックのUさんも彼女はご一緒じゃなかったけど来てくれる。ああ、半分ありがたい。
 北九州大学の方々や、藤田君のお友達も、気づかなかったが観に来てくださったらしい。もう三拝九拝、感謝感激雨霰。

 ついに本番。出来はいかがであったか。
 評価はお客さんが決めるものである。従ってここに私の感想は書かないが、ただ言えることは、表現者は常に過去を忘れず、かつ、未来を目指すということである。その意味で、みんな素晴らしかった。
 そう、「お楽しみはこれからだ!」

 撤去、搬出、手際よく1時間で終わる。こうたろうくんにまで手伝わせちゃったよ、お客さんだってえのに(^_^;)。
 後始末はスタッフに任せて(おいおい)、こうたろうくんと連れ立って、中洲の「十徳や」で五島盛りを食べながら歓談。芝居についての厳しい批評も頂く。やっぱり一度は「明るく楽しい東宝喜劇」を書いてみないとシナリオの実力はつかないよなあと実感。
 こうたろうくん、地鶏の炭火焼が痛くお気に召したよう。昼のうなぎも炭火焼だったから、東京人を接待するには炭火焼が一番と判明(^o^)。……ホントか?
 このまま別れがたく、つい自宅までこうたろうくんを誘う。女房、よしひと嬢を交じえ、深夜までシティボーイズライブDVD『夏への無意識』や『王の鳥』を見る。「面白いものは(映画でも小説でも)一本あればあとは要らなくなる」というこうたろうくんの意見、確かにその通りである。……そういうドラマが作れたらいいなあ……いや、作らねばねば。

 こうたろうくんが帰ったあと、よしひと嬢に「こうたろうさんって、いい人ですね」と言ってもらえたのが、実に心の癒される一言であった。何気ない一言が優しいんだよなあ、よしひとさんは。……ということで、君は耳にしなかったこの言葉を最後にこうたろうくんに送ろう(^o^)。
 よしひと嬢も明日は帰る。しばらくはウチに泊ることもない。芝居のあとの、少しずつ、少しずつ、寂しさが隙間風のように入りこんでくる瞬間を、私も女房も感じている。
 もちろん、その寂しさを埋め合わせるために次の芝居を作っていくわけではない。祭りのあとの、次の祭りはまた別の祭りだ。だからウチはプロデュース形式を採っているのだ。



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