委員長の日記
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2004年05月03日(月) あたらしい憲法のおはなし

今日は憲法記念日です。

今の世界の状況にそぐわないからと、憲法を変えようと言う人が増えています。

次々と、新しい法律を作って、国際協力という隠れ蓑を使って、自衛隊がよその国に武器を持っていけるようにして、既成事実を作ってから、今の状況にそぐわないと言っている人たちは、自分達が憲法を守らなかったのだと言うことを自ら認めているのです。

以下は、昭和22年、現行憲法が発布された時に、小学生達に配られた資料です。

全文は以下のサイトで読めます。
『あたらしい憲法のはなし』


『あたらしい憲法のはなし』前書き


みなさん、あたらしい憲法ができました。
そうして昭和二十二年五月三日から、私たち日本国民は、この憲法を守ってゆくことになりました。
このあたらしい憲法をこしらえるために、たくさんの人々が、たいへん苦心をなさいました。
ところでみなさんは、憲法というものはどんなものかごぞんじですか。
じぶんの身にかかわりのないことのようにおもっている人はないでしょうか。
もしそうならば、それは大きなまちがいです。

国の仕事は、一日も休むことはできません。また、国を治めてゆく仕事のやりかたは、はっきりときめておかなければなりません。
そのためには、いろいろな規則がいるのです。この規則はたくさんありますが、そのうちで、いちばん大事な規則が憲法です。

国をどういうふうに治め、国の仕事をどういうふうにやってゆくかということをきめた、いちばん根本になっている規則が憲法です。
もしみなさんの家の柱がなくなったとしたらどうでしょう。
家はたちまちたおれてしまうでしょう。
いま国を家にたとえると、ちょうど柱にあたるものが憲法です。
もし憲法がなければ、国の中におゝぜいの人がいても、どうして国を治めてゆくかということがわかりません。

それでどこの国でも、憲法をいちばん大事な規則として、これをたいせつに守ってゆくのです。
国でいちばん大事な規則は、いいかえれば、いちばん高い位にある規則ですから、これを国の「最高法規」というのです。

ところがこの憲法には、いまおはなししたように、国の仕事のやりかたのほかに、もう一つ大事なことが書いてあるのです。
それは国民の権利のことです。
この権利のことは、あとでくわしくおはなししますから、こゝではたゞ、なぜそれが、国の仕事のやりかたをきめた規則と同じように大事であるか、ということだけをおはなししておきましょう。

みなさんは日本国民のうちのひとりです。
国民のひとりひとりが、かしこくなり、強くならなければ、国民ぜんたいがかしこく、また、強くなれません。
国の力のもとは、ひとりひとりの国民にあります。そこで国は、この国民のとりひとりの力をはっきりとみとめて、しっかりと守ってゆくのです。
そのために、国民のとりひとりに、いろいろ大事な権利があることを、憲法できめていいるのです。この国民の大事な権利のことを「基本的人権」というのです。
これも憲法の中に書いてあるのです。

そこでもういちど、憲法とはどういうものであるかということを申しておきます。
憲法とは、国でいちばん大事な規則、すなわち「最高法規」というもので、その中には、だいたい二つのことが記されています。
その一つは、国の治めかた、国の仕事のやりかたをきめた規則です。
もう一つは、国民のいちばん大事な権利、即ち「基本的人権」をきめた規則です。
このほかにまた憲法は、その必要により、いろいろのことをきめることがあります。
こんどの憲法にも、あとでおはなしするように、これからは戦争をけっしてしないという、たいせつなことがきめられています。

これまであった憲法は、明治二十二年にできたもので、これは明治天皇がおつくりになって、国民にあたえられたものです。
しかし、こんどのあたらしい憲法は、日本国民がじぶんでつくったもので、日本国民のぜんたいの意見で、自由につくられたものであります。
この国民ぜんたいの意見を知るために、昭和二十一年四月十日に総選挙が行われ、あたらしい国民の代表がえらばれて、その人々がこの憲法をつくったのです。
それで、あたらしい憲法は、国民ぜんたいでつくったということになるのです。

みなさんも日本国民のひとりです。
そうすれば、この憲法は、みなさんのつくったものです。みなさんは、じぶんでつくったものを、大事になさるでしょう。
こんどの憲法はみなさんをふくめた国民ぜんたいのつくったものであり、国でいちばん大事な規則であるとするならば、みなさんは、国民のひとりとして、しっかりとこの憲法を守ってゆかなければなりません。
そのためには、まずこの憲法に、どういうことが書いてあるかを、はっきりと知らなければなりません。

みなさんが、何かゲームのために規則のようなものをきめるときに、みんないっしょに書いてしまっては、わかりにくいでしょう。
国の規則もそれと同じで、一つ一つ事柄にしたがって分けて書き、それに番号をつけて、第何条、第何条というように順々に記します。
こんどの憲法は、第一条から第百三条まであります。そうしてそのほかに、前書が、いちばんはじめにつけてあります。
これを「前文」といいます。
この前文には、だれがこの憲法をつくったかということや、どんな考えでこの憲法の規則ができているかということなどが記されています。
この前文というものは、二つのはたらきをするのです。
その一つは、みなさんが憲法をよんで、その意味を知ろうとするときに、手びきになることです。
つまりこんどの憲法は、その前文に記されたような考えからできたものですから、前文にある考えと、ちがったふうに考えてはならないということです。
もう一つのはたらきは、これからさき、この憲法をかえるときに、この前文に記された考え方と、ちがうようなかえかたをしてはならないということです。

それなら、この前文の考えというのはなんでしょう。
いちばん大事な考えが三つあります。
それは「民主主義」と「国際平和主義」と「主権在民主義」です。「主義」という言葉をつかうと、なんだかむずかしくきこえますけれども、少しもむずかしく考えることはありません。
主義というのは、正しいとお思う、もののやりかたのことです。
それでみなさんは、この三つのことを知らなければなりません。
まず「民主主義」からおはなししましょう。



委員長