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| 2003年10月29日(水) | 知ってますか？子どもの権利条約 |
子どもの権利条約を学ぼう・序章
＜はじめに＞
会員のみなさんの手元に届く『ふれあい交差点』の表紙には、必ず次のような文章が書かれていることに気づいていらっしゃる方は多いと思います。
私達、ＮＰＯ法人子どもネットワーク可部は『子どもの権利条約』についての理解を深め、乳児から中高生まで、すべての子ども達にその年齢にふさわしい文化体験や、遊び体験を提供し、まだ大人たちには、子育てに必要な様々な情報を提供することにより、豊かな感性と心をはぐくむことのできる地域社会つくりを目指しています。
では、一体『子どもの権利条約』って何なのでしょうか？
子どもの権利と文化体験がなぜ結びつくの？
遊び体験が子どもの権利なの？
大人に情報を提供することが、子どもの権利とどんな関係があるの？
豊かな感性と心をはぐくむことが子どもの権利なの？
そうです、これらのすべてが『子どもの権利条約』の理念に基づいた発想なのです。
１９８９年、国連で“子どもの権利条約”が採択されて１４年、日本が国としてその条約を批准した１９９５年から９年が過ぎようとしています。
その間、子ども達を取り巻く状況は良くなったのでしょうか？
今も続く悲しい児童虐待事件の数々・・・愛してくれるはずの親から虐待を受けている子ども達の悲痛な叫びを私達はどう受け止めればよいのでしょうか？
いじめの問題もどんどん陰湿化し、不登校対策も頭打ちの現状です。
犯罪の低年齢化が叫ばれて何年が過ぎているのでしょう。
少年法が改定されてその発生率には歯止めがかかったのでしょうか？
このような様々な問題は、すべて子ども達に責任があるのでしょうか？
私達は大人として、子ども達にどのように向き合っていけばよいのでしょうか？
問題を起こす子どもは、特別な存在なのでしょうか？
私達はそうではないと考えます。
ＮＰＯ法人として新たに歩みだす以前から、私達は様々な形で『子どもの権利条約』についての学習会を行ってきました。
しかし、ほとんどの子どもたちや、多くの大人たちの中には、まだまだ浸透していないのが現実です。私達の活動のミッションのひとつである、『子どもの権利条約への理解を深める』ためにも、今、新たに腰をすえて、この問題に取り組んでいきたいと考えています。
＜これだけは知っておいて＞
�｜�のための権利なの？
その名の通り、すべての子ども達に与えられるべき権利について定められています。
＊子どもとは１８歳未満のすべての人のことを指しています（第１条）
ここで大切なことは、大人の役割です。
なぜかというと、大人には、自分の権利が損なわれた場合は、そのことを訴える手段があります。
つまり大人は自分自身の権利を守る力を持っています。
しかし、多くの場合、子ども達には自分自身の権利を守る手段がありません。
＊子ども達の権利を守っていくのは、すべての大人の義務でもあるのです。（第２条〜第５条）
だからこそ、私たち大人は、『子どもの権利条約』について、きちんと学び、また、
＊子ども達に、彼らが持っている権利についてきちんと伝えていく義務があるのです。【条約広報義務】（第４２条）
そしてまた、この条約を締結した国に対しても、様々な義務があります。
締約国は、
＊この条約に定められた義務がきちんと守られているかどうかを審査するための委員会を設け
（第４３条）
＊一定期間ごとに、この条約の認める権利の実現がなされているかどうかを国連に報告する義務があります。（第４４条）
�△匹里茲Δ文⇒�があるの？
第６条から第４０条まで、『子どもの権利条約』では、子ども達の様々な権利を定めています。
その主なものは次のように分けることができるでしょう。
＊安心して生きる権利
【生存権・名前、国籍を持つ権利・家族との分離の禁止・アイデンティティの保全など】（第６条〜第１１条）
【プライバシー、名誉などの保護・あらゆる虐待、放任、搾取からの保護・家庭環境を奪われた子どものケア・障害がある子どもの権利・健康および保健医療ケアに対する権利・麻薬、向精神薬からの保護など】（第１６条〜第２５条・第３２条〜第３９条）
【社会保障に対する権利・生活水準に対する権利】（第２６条〜第２７条）
＊心がすこやかに育つ権利
【表現、情報の自由・思想、良心、宗教の自由・結社、集会の自由】（第１３条〜第１５条）
【休息、余暇、遊び、レクリエーション活動の権利および文化的、芸術的生活への参加権】
（第３１条）
＊知る権利
【マスメディアへのアクセス・教育に対する権利など】（第１７条・第２８条・第２９条）
＊少年司法について（第４０条）
＜子どもの権利条約から何を学べばよいのでしょう？＞
もちろん、『子どもの権利条約』の内容について知ることだけが、理解を深めたことにはなりません。
また、どのような、立派な内容であっても、それを大人が自分達の都合で歪曲してしまっては何にもなりません。
この条約を学ぶことによって、私達が何を目指し、今後どのような活動を展開していくべきなのかという方向性を見つけていかなければ意味がないと思います。
では、私達はどのような目標をもっていけばよいのでしょうか？
＜新しい子ども観＞
私の手元に１冊の本があります。
これは、ＮＰＯ法人子ども劇場全国センターの子どもの人権顧問である、村田光男弁護士が書かれた『新しい子ども観』（子どもとおとなにやすらぎと意欲とプライドをもたらすもの）というタイトルの本です。
この本は、１９９８年に発行されたものですが、私にとって子ども達と向き合っていく上でのバイブルのような１冊です。
この本は、『子どもの権利条約』を糸口に、彼が弁護士として出会った、犯罪を起こしてしまった子ども達とのふれあいを通じて見えてきた、子ども達の大人に対する声にならない叫びを代弁し、また大人社会の矛盾を痛烈に批判しながら、これからの社会にとって大切なことは、子ども達をただ弱い、保護しなければならない存在としてではなく、おとなや社会の問題を見抜く鋭い感性の持ち主として尊重し、また大人も子どもも同じように権利を持つ人間であるという対等な関係を築いていくことだと書かれています。
このような考え方を、彼は『新しい子ども観』という言葉で彼は表しています。
今後、私達が『子どもの権利条約』を学んでいく上で目標としていかなければならないのは、このような『新しい子ども観』をもつ大人を、地域に広げていき、すべての子ども達がその権利を守られ、大人と対等な立場でより良い地域社会作りができるようにしていくということでしょう。
＜子ども達も一緒に＞
先に述べたように、大人には、子ども達に『子どもの権利条約』について伝える義務があります。
しかし、今の日本の子ども達は、その知る権利をきちんと受けているでしょうか？
子ども時代にその権利を尊重されて育った子ども達は、近い将来大人になったときに、彼らの子ども達の権利を尊重できる大人になることができるでしょう。
私達は、『新しい子ども観』を持つ仲間を増やしていくことと同時に、子ども達に対しても、彼らの持つ権利について、また、その権利の持つ意味について伝えていかなければならないと思います。
＜一歩ずつ・・・＞
とはいえ、やはり最初は一つ一つの条文について、理解を深めていかなければなりません。
今後は「思春期を考える大人の会」を中心にテーマを決めてその条文の中からいくつかを取り上げ、
意見を交換しながら、自分達の活動に反映させていきたいと思います。
委員長
