終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2009年05月18日(月)

【乱序】


 笛吹く男の手の掌に死があり、揺らめいて青白く立ち上る。


 片倉小十郎の笛の音が米沢城の宴を賑わすのは、それほど珍しいことではない。月の頃に桜の頃に、名手といわれる小十郎の笛の音は、恒例のこととしてそこにある。だが米沢城の奥も奥、城主の寝所において――なら。
 ごくごく、稀、と、いえた。

 その理由のひとつは、政宗そのひとが、小十郎の笛を好まなかったため。否、恐れたため、としてもよい。


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