- 2009年05月29日(金) 【紅い谷】 千里の彼方より千里の彼方へと、砂塵が吹き飛ばされてゆく。 砂漠に今日と明日の別などない。ただただ切れ目のない今ばかり。 そんな話を聞いたことがある。あれは大陸から来た男だった。顔立ちも目や髪の色も尋常ではなかったから、おそらくは紅毛の血が入っていたのだろう。そんな話をして、妙に懐かしい目で、故郷です、と言った。 俺としてみれば、そんな、草一本育たないような荒地のどこがいいのか皆目わからなかった。なんとなく高い山の上の、荒涼とした、瓦礫ばかりの稜線を思い浮かべて少しもしっくりしなかった。ただ夢に見た。 また夢に見た。 夢に見るのはいつも、政宗さまの臥所で寝入った夜だ。となればだいたい精根尽き果てるまで突っ込まれた後だ、夢など見ることは稀、良い夢だったことは皆無と言ってよい。だいたいこの人は、加減を知らない。 武士は知勇をもって仕える。だが、主が求めれば芸も色も勤めであろう。であれば刀剣と筆先に加え、色をもって仕えることに異論はない。それだけのことであるなら、ただそれだけのことだ。 ……頭の中を、 信長公の伽に召しだされる松永弾正久秀というイロモノが ぐるぐる回っています…(ばさらヴィジョンで)ヤヴァイ。 -
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