- 2009年02月02日(月) 贋作:牡丹灯篭 飯島平太郎が平左衛門と改めて家督を継いだのは22の歳のこと。水道橋の三宅の息女を妻に迎え、ほどなく生まれた露という一人娘が16になり、そろそろ婿を取ろうかという年ごろ、ふとした病で妻がみまかった。 これより少し下って飯島40歳の春まだ浅いころに物語は始まる。 「誰か」 たまたま風邪を引きこんで床をとっていた飯島がふと目を覚ましてそうと声をかけると、つつと襖の向こうに足音が寄って、膝を突く気配があった。 「国か? 入れ」 それより入って来ようとも、返事をしようともする気配がないので重ねて訪ねたが、まだ返事がない。ちなみに国とは妾の名である。もとは奥方付きの女中として当家に上がり、顔立ちにせよ立ち居振る舞いにせよ人並みすぐれたところがあったため、いつしか手をつけた。ために娘の露がいささか機嫌を害し、牛込の別宅にひきこもるという仕儀となっているのが、飯島の心痛の種といえば種であった。 「竹か、米か。藤助か、源助か。やれ、誰でもよいわ、入れと申すに」 まだ少しためらうような様子があって、やがて襖がすっと開いた。膝をついて、敷居の上に額をすりつけんばかりにしているのは、21、2と思しい見慣れぬ男である。はて、と飯島はしばらく考え、得心した。 「ははあ、手前は先ごろ抱えた草履取りの孝助か」 「ヘイ、病中にみっともない顔をご覧に入れましてご無礼いたします」 「驚いて死ぬような面でもあるまい。入って、そこな脇息を持って来い」 「へぇ」 腹を決めたか、それ以上もじもじとせず入ってきた草履取りの若党は、脇息を寝床の脇に置くと、急にまたもじもじしだした。出そうか出すまいかとひょこひょこ出たり引っ込んだりする孝助の手を尻目に、よっこらしょ、と飯島は起き上がり、脇息にすがると、ちり紙をとってちんと鼻をかんだ。 まだまだ序ノ口です。 インフルエンザは順調に回復中。 しかし病院で出される「院外処方箋」というのはオニですね。 死ぬような思いしてたどりついた病院では薬は出さず、 勝手にどこでなりと出してもらったら、というわけです。 40度の熱出してる身で、門外の薬局まで百�辰睚發�というのは拷問です。 しかも寒風吹きすさぶ中、行きつけばまた書類に記入しろってか。 この制度を考えたひとは、いちど自分がそういう目にあうといいよ。 -
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