- 2008年05月10日(土) 東海道四谷怪談(新橋演舞場): 行ってきました。行っちゃいました。お金ないのに…orz しかも一等席。しかも花道のすぐ横! もう播磨屋の褌モロ見え! きゃあきゃあ! …腐った話はおいといて。 「四谷怪談」「お岩さん」はあまりにもメジャーだから説明は省略。 芝居の白眉はやはり、文句なしに「髪梳き」の場面だろう。 毒薬を盛られて顔のただれたお岩が、お礼まいりのため 鏡の前に座り身じたくを整える、というだけの動きの少ない場面だ。 身じたくを整える、つまりそうだ。怨霊になっていく。 生きながら人間でないものになっていく、成り果てて行く。 悲惨の度を増す容貌、抜けおちる黒髪、はみ出した鉄漿(おはぐろ)。 ぽつりぽつりと落ちる三味線の音色と音色のあいだの不気味な闇。 崩れた自分の顔を鏡で見る女の眼差しは次第に鬼気迫る。 善良な人間、辛抱を重ねた人間ほど、裏切られ踏みつけられた恨みは深い、 という江戸の芝居の約束事がはっきりとあらわれているのだが、 ではザ・悪役で岩の夫、伊右衛門はどうかというと。…色っぽいのである。 悪いのはリチャード三世ばりに悪いのだが、色っぽいのである。 女房に食わせる才覚もまっとうな根性も、義理もないくせに、 金に汚いくせに、血も涙もないくせに…色っぽいのである。 なんだろうこれは。膏血絞られてなおすがりつきたくなるような。 「私がいなきゃだめな人なんだ」でもないし、なんだろな。 もちっと研究の余地アリ。南北の原作読んでみようかな。 -
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