- 2007年11月13日(火) ツィンボロンは転がるように歌う 引っ越しのときに、ハンガリーで買ったCDが出てきた。 自称「ジプシー王」率いるバンドの演奏を集めたもので、 ご推察の通り、ジャンルはロマの民族音楽だ。 楽器はヴァイオリンが何丁かとヴィオラ、 ツィンボロンというピアノの親戚がメーンだ。 曲風は倦怠に満ち優雅で、素朴なあてやかさがある。 これを最近よく聞いている。 というのはやはり(ヘッドホンをしていても)、ロックは夜の音楽でない。 そしてわたしが音楽を聴くのは深夜から未明なのだ。 ロマの音楽はわたしを覚醒させもせず、眠らせもしない。 同じ体温がある、とでもいえばいいのか。 「音楽の泉から汲まれた最も冷たく純粋な水」(シベリウス)の類も ホットで踊りだすようなロッケンロール(レッチリ!)も、 あとは眠るばかりのくつろいだ夜のひとときには向かない。 このあたり、最近自分は気難しいと自覚するようになった。 ある種のものはだめだし、ある種のものはもう耐えがたいのだ。 上手下手というのではない。そういう嗜好なのだ。 そしてこのCDは気に行っている。 ときどき譜面をめくる雑音の入ったこのわびしいCD。 得意げなヴァイオリンはときどきキイキイ言うが、 ツィンボロンのくぐもったやわらかな音色が私の神経をなだめる。 なんといえばいいのだろう? たとえば揺れるろうそくの炎のような。 -
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