- 2007年11月12日(月) あなたがその細い指で三日月をなぞるなら 雪白の仔ライオンはわたしの膝の上で眠ってしまった。優美で礼儀正しいばかりでなく、非の打ちどころのない女主人であることも明らかになった緋色の格子縞の雌ライオンは、わたしのために鳥の羽を積んだ床の一角を用意してくれたので、子猫よりは育った感のある仔ライオンを膝に抱いたままでもそうそう苦にはならなかった。 雌ライオンは前足を重ねて砂の上に置き、私に言った。あなたは遠くからいらっしゃいました。あなたはさだめしたくさんのものをご覧になられたでしょうが、そのうちのほんのひとつでも、話して下さいませんでしょうか。と申しますのも、この砂漠は私どもの愛する故郷であり統治する王国でありますが、またそれゆえに私どもはそれよりほかの場所に行ったことがないのです。 お恥ずかしい話ですが、と雌ライオンは言い足して口をつぐんだ。 -
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