- 2007年11月05日(月) 初めて都庁に行った。 やっかいなトラブルをひとつ抱えてのことなので楽しくもなかったが、 「雨漏り丹下」の代表作だ。なかなか興味深かった。 なぜ「雨漏り」なのかというと、建築関係の人間には有名な話だ。 丹下さん天才だけど、天才にありがちなアレでもある。 自分の願望に忠実すぎて、構造的なあれこれに目をつむるのだ。 代々木の体育館なんてあれ、芸術品だと建築関係者はいうが、 同時に保守のほうはやりたくないなーと思うそうだ。 要するにあの芸術的な曲線は雨水の逃げ道を殺してしまう。 その結果としてどっかしら雨が漏る、というわけだ。 それで都庁。でかい。 それにあの意匠。細部に至るまである種の意志に貫かれている。 天才というのはたぶんこういう生き物だ、竜の息吹がある。 古代の神殿に似た、なにか異様な生き物の手が差し伸べられていた。 こうした感覚は商業施設ではあまり見ることがない。 公の建築、権力というものを代表させた建築にだけある。 皇居にも、カイロのシタデルにもパルミラのバール神殿にもあった。 権力という竜の、その生きた顔を見た、と、思った。 石原都知事はたぶん、あそこをとても気に入っているだろう。 で、雨漏りするのかな。どうやらするらしい。 -
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