終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2007年11月04日(日)

ずいぶんと遠くまであなたは来た、とキリンが言った。

 そう、私はずいぶん遠くまで来ていた。それはわかっていた。だから私は白黒の網目模様のキリンを前にわずかに笑い、ゆっくりと立ち上がった。かれらも窮屈そうに縮めていた首をのばした。
 私はキリンたちに言った。私はずいぶん遠くまで来た。一度は立ち戻ったがまたやってきた。あこがれが私の制御しえぬ翼であって、その翼はわたしをこの赤い砂塵の地に運ぶのだと。
 キリンたちはあの怜悧な、だが世界の果てから包み込むような冷やかな寛容なまなざしで私を見つめ、それから揃って頭をあげた。
 年老いたキリンたちのうちの一頭がわたしに言った。もうすぐ朝が来ます。朝とともにあなたがたの悲しみが、あの黒い霧がやってきます。あなたはしばらくここを離れなさいと。


-



 

 

 

 

ndex
past  next

Mail
エンピツ