終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2007年10月05日(金)

「パンズ・ラビリンス」

無力さというものを思い出した。
夢の中にさえ絶望的なまでに逃げ場のない、
追いつめられた無力な子供だったときのことを。
そしていまも過去にもそうして追いつめられ、
殺され死んでいく多くの無力な子供がいることを。
あのとき私を救ったのはまぎれもなく物語の世界だったし
かれらを救いうるのもまた物語の世界だけだろう。

この世があまりに理不尽で悪に満ちているなら、
幻想のうちに秩序や善や救いを求めねばならないのは自明のことだ。
でなけば狂うか、死ぬよりほかにないが、
狂うことも死ぬこともできない無力さのなかに
私もかれらも置かれており、あるいは置かれてあった。
スクリーンに描かれたすべての物語は
そうした子供が抱く幻想のにおいに満ちていた。

わたしの戸棚にもそれらのおおよそすべてはあって
エンドロールの間ずっと、それらを見つめていた。
そしてそれらがどういう意味を持っていたのかをあらためて知った。
いまは古ぼけて陳腐なそれらは、確かに私を生き延びさせたのだ。
かつてはそれらが明日の方へ命をつなぐ唯一の手段だったのだ。

無力で孤独な子供の影はいまも私の足元に落ちていて、
この地上の多くの地に落ちていて、そして絶えず消されて行く。
映画を見て、とても久しぶりに泣いた。


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