終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2007年09月16日(日)

 セクシュアルな興奮、というものを面白いと思う。
 男なら「立つ」女なら「濡れる」ということになるだろうか。ちょっとこれについて考えてみた。直接の契機は仕事場においてあった古雑誌「薔薇族」をぱらぱらっとめくったことだ。
 およそ異質な文化なのだが、ふと思い当たった。ははあ、ホモの人たちはこういうの見て興奮するのかと。実際まさにそれ用のブツなわけだ。いわゆるもクソもない腐女子でありやおい系をニヤニヤしながら楽しんでいる私としては、そのあまりの価値観の違いにショックを受けた。
 とはいえ共通点を持たなかったわけではない。私は美少年より筋肉質が好きだ。現在の下宿は講道館近くなのでいわゆるガチムチを見る機会が多く、個人的に非常に楽しめる立地だ。いっそ銭湯に男女混浴とかできないかなと思うくらいだ。ホモの方々も千差万別趣味はありつつ、大多数はスポーツマンタイプが好きらしい。グラビアなんかは個人的にOK。まさかずりネタにはしやしないが、脳内妄想の根源として使用可能だ。
 だめだったのは文章の方だ。「ホタル」というホモゲーをやったときもそうだったのだが、いわゆる「引く」という脳内退潮現象が起きる。ああ、それ萌えないなあ…である。痛めつけられた男の顔だとか、虐められることに快感を覚える美少年にはさっぱりついていけない。三島由紀夫のものとされる「愛の処刑」(美少年の命令で体育教師が切腹する)とか、その性的ファンタジーにはついていけない。
 一方、会ってすぐ「二人の男は獣のように」盛る話はニヤつきつついけたのだからまったくぜんぜんダメということではないのであろう。整理するとこういうことだ。男の体を性的対象とみることには問題ない。男同士の行為そのものにもまったく問題ない。しかしそのあいだに提示される妄想にはついていけない。ここに多分そうであろうと思われる結論がある。
 私は死に萌えない。なにを唐突なとおっしゃる向きもあるだろうが、男同士の行為を書いたホモ作家の小説のどうも底流に流れていると思われるのは死である。女の生産性を欠いた性行為に没頭するためか、あるいは男色という行為がそも軍隊的な世界に根底を持つせいかはしらない。どんな言葉で飾っても、鬼軍曹のしごきとか、君主の命令に従って二度と帰らぬ旅に上る暗殺者とか、戦友が互いに感じる奇妙な親近感とか、捕虜の受ける拷問とか。そうしたものが紙面から漂ってくるのである。どんなうるわしい美少年のからみでも、なんかそういう気配が透けてくるのである。
 たぶん、ホモの萌えるポイントは、そうした透けてみえるところにある。私はだめだ。というわけで私はホモではない。いや性別女だけど。

 レズの人々についても考えるべきなのだろうが、寡聞にしてレズ専門誌というものを知らない。方々どうしておられるのだろう。
 …ここまで書いてきてインターネット検索したらあった。「カーミラ」。一瞬、カー雑誌かと思ったが、これは吸血鬼カーミラからとったのだろう。しかしカーミラって女を標的にしたっけな? 寡聞にして存じない。
 さて、モノホンを取り寄せるには数日かかるということなので、HP上の情報だけざっと見ることにする。…キタ。頭痛が、ええ…読者の体験談なんてものは編集者が勝手にねつ造している場合も多々あるので実際はあてにならないのだが。ましてや創刊2号でそうそうお手紙来るかいな。
 えーと、女子中生が女子大生を押し倒すという体験談。モノホン体験記にしてもあるいは女性編集者ねつ造にしても構わない。女が女に抱く性的妄想の一例として考えたら、どうだろうか。まず対象である女子大生の魅力なのだが、ここで薄化粧とか初々しさ、胸の大きさが言及されている。いずれも女性としての性的な魅力であって、これは男性から見るよりはややこまやかではあるものの、視点はそれほど変わらない。次に行為中の淡い抵抗と完遂した際の反応だが、きわめて淡泊だ。男性雑誌であればもうちょっと擬音と喘ぎ声が入るところだろうが、むしろ「可愛らしい」とでも表現される彼女の仕草や言葉に重きを置いている。さて、どういうことだろうか。
 女が女の肉体に興奮するというのがそもそものレズの定義だ。恐ろしいほどの巨乳だとか極端に流れがちな男性連の視点に比べると、もっとはるかに繊細な審美眼とアンテナを感じる。後半については実際の行為の「良さ」、反応の如何より相手の性質に重きが置かれているあたりに性的ファンタジーを感じる。しかしこれに関しては体験記を一読しただけなのでなんともいえない。ただしホモの場合と比べるとそれほど強固なものとも思えないので、レズに関しては前半だけでも定義完了と考えてもいいのではないかと思う。
 さて翻って、女の体に性的な魅力を感じたことがない。女の体の美というものはわかるが、それに魅了されえない、というのは、やはり私がレズではないということなのだろう。レズの持つあの女体センサーはおしゃれや自己イメージ確立に根を持つ気がするのでちょっとうらやましくもあるが、こっち方面は入り込むと火の粉がかかるのでやめておく。

 男女間については言うまでもない。男にとって女の肉体はそもそも「魅力がある」。逆もまたそうだ。遺伝子的にそうなのだからしょうがない。そこにあらわれる性的ファンタジーについては全く異なっている。つまり同床異夢というわけだから、これもまたなんのこっちゃない。男にとっての女は娼婦か聖母であろう。女にとっての男は白馬の騎士か盗賊であろう。いずれもどっちにも立つし濡れる。ではそれだけだ。
 男女のことについては何万もの小説があり学術書がある。いまさら私の言うこともない。男にしか性的魅力を感じない女である私としては、いささか残念だ。そして次の点もだ。男女は理解しあえるが、ほんとうに重なり合うことはまずないだろう。少なくとも性的ファンタジーという点において。


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