終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2006年10月23日(月)


 ゴルディアス、つまりゴルド人たちには一つの言い伝えがあった。かれらの町には女神に捧げられた大きな結び目があって、これをほどく者は世界の王となるというのである。この言い伝えには不可解な続きがある。「これを解くもの、世界の王たるべし。されど死をもってほかなにびとも解きえざるなり」いずれにせよ女神の神殿は一つの結び目も持たなかったのである。

 この言い伝えは奇妙な形で真実となったと歴史家ブロム=イユが指摘している。かれの半生をかけた大著『ゴルド全史』に記されているところによれば、723年に中断された法王即位式において、法王マルチェロが殺害された、もしくは単にその後の消息が絶えた事件がそうだということである。
 かれは書いている。

「法王マルチェロとその義弟ククールの運命こそは結び目であった。ドニに発しマイエラに再会し、世界に向けて真逆に放たれながらサヴェッラにて、またゴルドにて相出会った。世界はかれらの結び目に捕らわれたがごとし」

 さらにかれは続ける。

「法王マルチェロは剣を抜き、義弟ククールも剣を抜いた。かれらはこもごもに互いに向けて剣を抜いたと信じていたが、そのじつこの恐るべき結び目より放たれんとして剣を抜いたのである。
 この兄弟の戦いの結末は知られていないが、続いて暗黒の魔王が蘇ったことからすれば、法王マルチェロが勝利したと思われる。ここにおいて法王マルチェロは世界の王となったのである。しかしながら魔王の復活は直接的に法王マルチェロの死を意味したであろうから、つまりゴルディオンの結び目はかれの死とひきかえに解かれたのである」

 しかしながら、ここにおいて筆者は、法王マルチェロがその弟に敗れたとする確たる証拠を持っている。だとするとこれはどういうことだろうか。
 運命の絡まり合った結び目はほどかれて、勝者ククールは流浪の身として世界をさすらい、後にみずから法王の位を得た。かれは確かに兄の死をもって、また私が持つ確たる証拠によればかれ自身の兄とともに死んだ魂の一部を引き替えとして、この高い位への長い迂路をたどり始めたのだ。


-



 

 

 

 

ndex
past  next

Mail
エンピツ