終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2006年05月11日(木)

ああっ!!!

仕事で、地獄のような苦悶をすることがある。
これはもう、一人でどうにかするほかなく、調べて考えるほかなく。
だがなにが重要でなにがそうでないかという選定こそ、いちばんの難事だ。

ここにおいて、問うものは自ら問われる。
つまり知識と経験と良識と感性とを。

これは、取り組むに値する課題であり、
同時に取り組まねばならぬ課題だ。




マグロオルの失跡のこと:

「わたしはたてごとを奏でよう」
 マグロオルは言った。その目は星々に先立つ夜のごとく暗く、その声は暗黒をわたる風のように静かで冷たかった。海辺の木々は震えさえした。このとき空を照らしていたのは白熱せるアノオル、遅れてきたものたちが太陽と呼ぶ円盤だったのだが。
「わたしはたてごとを奏でよう、カランシア。おまえがどこにもいなくなってから、時は意味をなさなくなった。日々は黒白の馬のごとく駆けて去り、しかもなにものも私の上に刻みはしない。闇のなかでは一切が形をなくすよう、海に落ちる水滴がその姿を失うよう、カランシア、おまえがどこにもいないなら、わたしもまたどこにもいない」
 マグロオルは海辺に立ち、たてごとを取り上げた。長いまっすぐな黒髪が海の果てから渡ってきた風にたなびく。幹にまつわる柳葉のごとく。辺りに夜を敷くようにして憂わしげにマグロオルは立っている。その手の中の琴は細い指のわずかな動きに、世界を切り裂くような音色を立てた。
 「カランシア、おまえを思い出すときにだけ、私は生きている。おまえとともに緑の野を横切った思い出を歌うとき、わたしは再び緑の野を駆ける。ほおに風を再び受け、蹄のとどろきを耳に聞き、かの地の空の青さを知る。わたしの歌にはそうした力があり魔力がある。だがカランシア」
 マグロオルはかすかにほほえんだ。暁に先立つ最初の星のごとく。
 「わたしは行こうと思う。終わらぬ歌のなか、終わらぬ音色のなかへ踏み入っていって、もう再び此岸に帰るまいと思う。わたしはこれより歌をかなでる。あらゆる魔術をこめて私は歌う。その歌のうちに去る」
 そしてマグロオルは歌い始めた。すぐれた魔術は海辺を満たし、千年も以前にマンドスの館へと招かれたものたちの幻を見せた。驚くべき歌は長く続き、海の底ではオスセが静かに泣いた。楽の音がとだえたときには、そこにはもはやなにもなかった。ノルドオル最後の歌人の姿もまた失われ、再びかれを見かけたものはなかった。




はやりの成分分析ふうに言うなら、
人間はたぶん、60%くらいは二度と忘れられないことでできている。
そりゃほとんどが胸の痛みや取り返しの付かない後悔だろう。
そんで、エルダールはその比率がだんだん上がっていって、
それが100%に限りなく近くなったときに、きっと生きるのをやめる。


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