終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2006年05月08日(月)

おぼえがき


コロス(イスの賢人たち):

「皇子よ、海の彼方の国の皇子よ。
 ダフウトの愛を勝ち得てはならぬ、断じてならぬ!

 おお赤い髪の王女ダフウト、生まれながらの魔術師ダフウト!
 ダフウトが笑えば海は晴れ、波は高まり風が歌う。
 ダフウトが眠れば千尋の水底までも日は差し、
 銀鱗の魚たちが身じろぎもせずに沈む!
 海は、荒々しい息吹なる海はダフウトを我が命より増して愛し、
 愛ゆえにそのわずかな心のおののきすらも受け止めようと乞い願う!

 皇子よ、海の彼方の国の皇子よ。
 ダフウトの愛を勝ち得てはならぬ、断じてならぬ!

 海はダフウトが誇り高く自らの女王である間は悪を知らぬ。
 群青色の猫のごとくダフウトの前に慕い寄るばかり、
 若葉の色したその目の一瞥を受けて幼子のごとく喜びまわる。

 だがダフウトが愛の前に膝を折り、人の子とともに歩めば!

 おお、海はそのとき、あらゆる嵐を解き放って怒りのかぎりに怒り、
 海原の底に秘めた狂気のかぎりに荒々しい波頭をはき出して、
 その苦悶のままに荒廃のかぎりを尽くさずにはおかぬ。

 皇子よ、海の彼方の国の皇子よ。
 ダフウトの愛を勝ち得てはならぬ、断じてならぬ!

 うつくしい顔した王の御子よ。
 ダフウトの愛をおそれ、海の怒りをおそれよ。
 胸に抱いた望みを捨ててイスの都を去るがよい」


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