- 2006年02月05日(日) 犬のことを考えている。どうしてあの犬、ここにいないんだ? わたしがここにいて、こんなにあの犬のことを考えているのに、なんだって もったいぶって出てこないんだ? 死んだなんてのは言い訳にならない。 死んだなんてのは言い訳にならない。だってまだ3年しかたってない。 手にはおまえの毛並みが残り、目にはおまえの振り返る様子がある。 なのにどうしておまえがいないわけがある? いるはずだ。そこに。 だっておまえもわたしが好きだったじゃないか。 わたしの帰還を待って逝くほど、おまえ、わたしを好きだったじゃないか。 あの犬が死んだ朝、わたしは泣かなかった。 だってどうして信じられる? そんなことがあるはずない。 こんなとりかえしのつかないことがあるはずがない。そうだろう? どうやったら信じられる? どうやったら泣ける? どうやったら過去になる? ああ、わたしはあの朝に私自身を置いてきた。 私自身の大きなかけらを。それはまだそこにある。 おまえ、おまえ、おまえはその朝に横たわり、まだ少しあたたかく、 眠るように目を閉じて、もう、わたしとともには行かないという。 それならわたしが私自身をそこに残しておくしかないではないか。 だっておまえはわたしの相棒だ。わたしを相棒にしたじゃないか。 血で結ばれた兄弟よりも、わたしたちはその絆を大切にしていたはずだ。 だからおまえがいってしまうはずがない。そうだろう? 壊れた時計がいまも一つの瞬間に留まっているように、 わたしもずっと、おまえの死んだ朝に留まっている。 わたしはときどきそれを忘れるが、おまえはその都度、思い出させる。 こんな傷を増やし続けるのが生きるということなら、 こんな痛み、こんな悲しさを抱え込み続けるのが生きるということなら、 ああそれは、ひどいことだ。あんまりひどいことだ。 -
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