終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2006年01月11日(水)

世界の半分は沈黙している。いや、もっとかもしれない。
人間の知る世界は、冗舌で軽やかな自然は、そんなのはわずかだ。
世界の半分は沈黙し、宇宙の大半は黙っている。
冷却せる半ば、寒々とした時空。

見えないか、“北”が。

多分それだ。グールドが聞きたいと願ったもの。
響かせたいと願ったもの。ギボンズとバードの楽曲の向こうに。
またバッハの厳粛で不思議にやさしい無限の音楽の向こうに。
安らかに横たわる死。生命のもう半分のうたう歌。



1:
二泊二日(…)の魂の洗濯を終えて任地に帰還。
イラク行きてェなあ。アフガンでもいいんだけどなあ。
砂漠とかさ、切り立った山脈とかさ、雪と氷にたたなう湖とかさ。

パルミラはいま、どんなだろう。
サハラは。あのアンダルシアのだだっぴろい荒野は。
クラク・デ・シュヴァリエ、サラディン城のあの水の宮殿。
私の心はときに彼の地へ立ち戻りたがる。

だけど日本だって、宇都宮だって、私の目には砂漠だ。
私は砂漠を歩くように街路を歩くのだし、
異国の屋根の上で眠るように布団で眠る。

だから砂漠へ行きたがるなんてのは、別に正しくない。
ただの感傷だ。


2:
私はときに犬になり、狼になり、また男になる。
というのはこういうことだ。

私は男が男の中で振るまうように振るまい、物を言う。
私は、人間が犬だというようなある種の性質を身に引き寄せる。
その視界から世界と他人を見ていることに気づく。あるいは狼の。

それは少しもおかしなことではない。
私は実際、女で28歳だが、
女であるように振るまうことが許されることは少なく、
28歳であるように振るまうことが許されることはなお少ない。

それでは、そのほかのときは、必然的にほかのものである計算だ。
そんなのは普通のことだ。道を歩けばわかる。動物園のようだ。


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