終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年12月09日(金)

文句なしで18禁↓
でもエロい気がしないんですけど。
某茶で投下したけど、長すぎて反省。突発は300文字以内だよね…。



 この若い貴族を憎んだこともある、とククールは考える。とりわけ何もわからなかったうちは。だがこの男はいささか悪趣味であることを別にすれば自分を人間として扱ったし、教えられた行為が快楽を呼び込むことも、学んでしまえば自明のことだったから、ククールにはもう、憎しみはない。寝台の上で互いに嬲りあい、了解済みの約束事に従って情事を楽しむだけだ。
 ―今日のように。
「なあ」
 ククールは言った。男はククールの中に太いものを埋め込んだまま、目だけで問い返す。ククールはうっすらと笑った。
「俺の兄貴、さ。知ってるだろう?」
「団長殿か?」
「そう。賭けをしようぜ」
「賭け?」
「あいつが、童貞かどうか」
 男は腰を動かしながらちらりと笑った。ククールもまたゆらゆらと腰を動かして応える。
「いいだろう。だが誰が確かめる?」
 ククールは笑う。
「――俺」


 自分の方の有利な点をククールは数える。舌を使うのはうまくなった。キスでも、その他のことでも。男を楽しませる方法はいくらも引き出しにしまってある。女を口説くように男をいきりたたせる方法も学んだ。多少の苦痛にしても、その先にある快楽を知っているから、耐えることを覚えた。なら。ククールは盆の上の器の蓋を取った。始めてしまえばこちらが有利。薄茶の粉末は音もなく茶に溶けた。あいつはどんな顔でイクんだろうか? 俺が最初にあの男にイかされたときのように怯えるだろうか? ククールはコツコツと団長室の扉を叩いた。胸には暗い蛇がとぐろを巻いている。


 マルチェロの手は剣を使う手だ。日に焼けて、爪は短く切られ、指の先までも力強い。眠る兄の両手を寝台に縛り付けて、ククールはその顔を見下ろした。額の秀でた美貌は紛れもなく精悍な男のものだ。
「――マルチェロ」
 耳元に囁きかける。頬を寄せて唇を重ね、舌を差し入れた。甘い、口だ。深い口付けを重ねるうちに、マルチェロがかすかに身じろいだ。
「起きた?」
 ククールは顔を引き、目覚めた緑の目に笑いかけた。そしてその瞳のうちに嫌悪の影が生まれて広がっていくのを認めてかすかに笑った。
「なあ」
 耳元に囁きかける。
「なあ、あんた、誰かとヤったこと、ある…?それとも」
手を伸ばして分厚い胸を探る。わき腹をたどると厚みのある体がはねた。
「清い?」
 問いは笑いを含んでいる。

 マルチェロは問いには答えなかったから、ククールは続きを始めた。揺らぐ灯火の中で寝巻きの前のあわせをはだけてやり、直に滑らかで力に満ちた体に触れた。銅貨ほどの大きさの胸先を指先でこね、帯を淫らにくぐらせ、こわばった下腹部の茂みに指を差し入れる。淫猥な思いは胸に腰にぞろりと渦巻いて、見下ろした顔に浮かぶ嫌悪さえ心地良い。
「女を抱いたこと、あるのかな。あんた、女の中にコレを突っ込んで気持ちよさに眩暈を起したり、背中を引っかかれたり…」
 柔らかい手指に、兄のものを握りこむ。やわやわと指を動かすと、低い呻きが聞こえた。

「あんたが俺を、『勉強』に出したんだぜ。そうだ、聖典を学ぶより、こっちを学べって、ことだろう? だからこれは、成果の報告さ…」
 うなだれていたものを手と指と舌で愛撫する合間に、ククールは度々顔を上げて、マルチェロに話しかけた。答えは一度もなく、だが手の中のものは鋭敏に反応を返したから、ククールは沈黙を意にかけはしなかった。手の中のものを愛撫し、何度か先端をきつく吸ってやると、それは大きくはねて、熱い液体を迸らせた。ククールは自分の体が熱いことに気づいて笑った。
 熱い呼吸をかみ殺すように唇を噛んでいるマルチェロの頬に、汚れた指先を這わせてやる。嫌悪感にか顔を背ける様子に、また熱いものが胸のうちをどろりと流れた。
「あんた、マジで清いの? これっぱかしのことで、さ。信じられないな。知らないものなんてないって顔してて。コレは、お飾りかよ?」
 錐のような視線がククールを見た。それは混じりけのない憎悪で、殺意だ。ククールは薄く笑って背を屈め、兄の顔を覗き込んだ。
「いいよ。俺が、さ…」
 なおいっそう潜めた声で続けた。
「男にしてやるよ」

 兄の顔を見下ろしながら、兄のもので濡れた指で後ろを慣らすという作業はククールをひどく興奮させた。見上げてくる視線は突き刺さるようで、それもまた心地いい。憎悪、殺意。だがその熱さは何にも代えがたい。
「あんた一人清いなんてさ、理不尽じゃないか? 俺にはこんなこと、教えさせておいてさ、なのに、あんただけ…」
 熱い息とともに囁きかけて、ククールは笑う。性急だが物慣れた欲望のまま兄のそれの上に、準備のできた体を落とし始める。マルチェロの喉がのけぞるのが見えた。

「なあ」
 ククールは絶え間なくせりあがってくる熱い呼吸の中で囁いた。視界の中のマルチェロも苦しそうに見える。それとも。
「俺の中、イイ…? イきそう…?」
 体がひどく熱い。兄のものをくわえ込んでいるのだという事実が甘い酒精のようにククールを酔わせた。体の中が潤っていくのは痙攣するように震えるそこから蜜のような液体がこぼれてくるからだ。ひとつ、きつく締め付けて、兄の呻き声を聞くと、ククールは動き始めた。


「それで?」
 若い貴族は首を傾げた。騎士服に威儀を正して座るククールは笑った。
「それでって?」
「賭けさ」
 ククールは笑って目を伏せた。一言だって言う気はなかったが、思い出すことは容易かった。マルチェロがどのようにククールの中で弾けたか。その瞬間にどのような顔をしたか。なおも締め上げ、擦り上げれば…。
「おっと」
 ククールは立ち上がった。
「ミサの時間だ、行かなけりゃ」
 男も笑い、二人はマイエラ修道院の高い堂宇の方に歩き出した。歩きながら、マルチェロはどんな顔で壇上に上がるだろうとククールは思った。


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