- 2005年11月17日(木) 五線譜には半音書けないです…>昨日の私>芥川氏 ……でも♯♯とか♭♭はやっぱり存在意義がわからないぞ! 素直に一つ上のトコに書けよ!(また恥書くぞ) Q:甘〜いと評判の店のケーキを上司に勧められたら、あなたはどうする? A:食う。食って苦しむ。し、舌が痺れる。マジで。 それで、『音楽の基礎』をまだしぶとく読んでいる。 半分もわかりません。異国の言語のようだ。バッハってすごいなあ。 こんな難しい法則とか原則を使いこなしていたなんて。 しかし、この一群のルールが言語と違うのは、 その表現と理解の範囲の豊かさもさることながら、 ついには美を生み出そうということが目標となっていることだ。 そうだ、美。 これはすでに思想を絶した思想だ。言葉もまた思想を語りはするが、 だが美ほどに人間を、その時代を、社会を鋭く抉りはしない。 響き渡る意志、か。ではなんという思考の密度の濃密さだ。 都市や宮殿のような、それとも絵画のような。いや、それ以上の。 しかもこいつはアレだ、通りすがりの人間の心臓を引っつかんだりもする。 で、和音ってナニ? 調性ってどこ見ればわかんの?(眉間に皺) ---------------------------------------------- 広くもない塔の中二階の床の半分をオルガンが占め、残りはチェンバロと、それから五線譜が山をなしインクの瓶が無造作に投げ出されているテーブルが占める。演奏を中断したマルチェロは、テーブルとチェンバロの間で狭苦しくチェロを構えるククールを見据えて言った。 「楽譜にすべてが書いてあるわけではない。歌は、それはおまえが見出しおまえが導き出し、そして命を与えて、歌い出さねばならないものだ」 それだけ言って、マルチェロはチェンバロに視線を戻した。鍵盤とその眼差しのあいだには豊かな緊張と深い愛情が満ちて、ククールは何とはなしに弓をかまえたまま息をひそめた。男の骨ばった長い指がそっと、鍵に触れ、そしてチェンバロは歌い始めた。 ククールは息をひそめる。黒鍵の上を速くときに遅く、自在にマルチェロの指は走り、歌はそこから生まれ出て虚空に放たれる。低いハミングは音楽と語るようだ。立ち現れる音色の一つひとつがその本質において分かちがたく結びつき、それは一つの歌であると知れた。ああ、確かにこれは音楽、歌、教師の教えなかった生命を持つなにものかだとククールは考える。 だがそれにしても、マルチェロとチェンバロの仲の良さときたら! オルガンなら年配の友人に対するように節度を持って奏でるマルチェロが、今は甘やかし笑いあい囁いて、まるで恋人とでも語らうようじゃあないか…。そこまで考え、それがまるで嫉妬めいていることに気づき、ククールは閉口した。ようやくククールは、この塔に入ってもただ突き出されることがなくなっただけだ。それだって、子供の頃に教養として習わされただけで忘れ去っていたチェロを引っ張り出してきて、二重奏の候補に強引に名乗り出たからに過ぎない――もっともそれもこの調子ではいつまで通用するか。 不思議の国をめぐるように転調を繰り返した演奏が、最後に豊かな主和音を響かせて鮮やかに終わった。マルチェロはほんの一呼吸のあいだだけ名残を惜しむように押し黙り、ほっと短い息をついてククールを見た。 「――わかったな? 次もまたオウムのように弾いたら…」 「わ、わかったよ」 ククールは慌てて答えた。もしそんなことになったらきっと、二度といい顔はしてもらえなくなるというのは十分にわかったからだ。マルチェロは疑わしいとでも言いたげにククールを一瞥し、またチェンバロに向き直った。 「素質はあるのだ。努力を惜しむな」 ククールは思わずぱちくりと瞬きした。今、何と言った…。だが捕えなおす前にマルチェロが最初の一音を響かせ、ククールは雑念を忘れた。窓の外では真昼が過ぎ去り、夕方の華やかな赤みがかった光が窓辺を飾り始めている。 音楽家兄。昨日分の前の分。(時系列が嫌いです) -
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