終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年06月30日(木)

 白昼の海辺は明るく輝いている。海の表は獣の皮のようだ。マルチェロは崖際に立って空を仰ぎ、それからひといきに落ちた。銀色に輝く白亜の崖はすばやく走り抜けた影を映し損ねた気配であった。

 ククールはもう手を伸ばさなかったのだ。

 海は静かにマルチェロを抱きとめた。岩場にしがみついた海藻の群れ騒ぐそのただなかを、彼は沈んでいった。葬列に並ぶ女の黒髪のごとく、ケルプの長い葉や茎は最期の苦悶のあいだ、彼の体をやさしく撫でさすった。

 引き裂かれた黄金と青の衣を帯び、マルチェロは水底へと落ちてゆく。

 水中の波はもはや力ない手足に祈りめいた姿態を取らせている。両手を掲げて、首を傾げ、髪は上に向けてたなびき頬を打ち。海藻の葬列をくぐりぬけて。では涙は。涙は塩水であった。これよりふんだんにあるものもない。

 落ちて、落ちて、光は次第にその輝きを弱めてゆく。

 嵐はもうこの淵には届かない。見開いた緑の目は上方を見ている。弱まり行く光がきらめき帯なしてその顔の上をよぎってゆく。唇はわずかに開き、何か言いたげでさえある。満ちているのは潮であったが。

 そして闇が。

 ゆらりと静かに揺れて、世の初めからの暗がりが彼を飲み込んだ。

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べつにこれ、兄貴でなくてもいいよね!
死にネタ好きの面目をほどこしたよ。


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