終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年02月24日(木)

 悪龍グラウルングは笑った。モルゴスに似た瞳、悪意ある虚無たるその緑の瞳は揺らめく炎さながら燃え、ために太陽の光さえ陰った。
「フェアノールの息子カランシア、血に赤き顔よ。俺は運命を告げに来た。見よ、これなるはグラウルング。おまえの死だ。マンドスの扉の鍵はこの爪と知れ、サルゲリオンの領主よ」
 カランシアは冷ややかに、しかし真っ向から龍の小暗い目を見て、しかも囚われもせず恐れもしなかった。恐るべき剛勇であり胆力であった。
「蛇よ、恐れを知れ」
 その静かな声のどこかに警戒すべき何かを見出したよう、龍は首を曲げてエルダールの公子を注視した。カランシアは肩の高さ、水平に刃を掲げた。 銀の刃は陽光に燃え、公子の目の光に輝いた。ゆらりと長い黒髪が流れ、きらめきつつ星に勝る美貌を半ばまで覆った。
「おまえは、望みを持たず願いを持たぬ者の前に立っているのだ」
 龍はたじたじとして一歩退き、しかし次の瞬間には怒り狂って炎を吐いた。灼熱の輝きは風を殺し陰り深いヘレヴォルンの湖を震えおののかせた。しかしどのような炎がシルマリルの創造主の手になる魔法の甲冑の公子を傷つけられよう。足速く高い帆桁の船さながら、公子は進み出て剣を振るった。


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