終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年01月21日(金)

 沈黙は夜明け前の雪原にその翼を広げている。風は吹かぬ。雪はやんだ。
 細かな雲がいくらか地平のあたりにわだかまるほかは天は晴れ上がっている。東の果てはもうよほど明るい。だが太陽はまだ地平よりいくらか下にあり、天地はぼんやりとした黎明の青白さに染まっている。影の生まれる前の時刻であった。
 マルチェロは音もなく歩く。凍てついた大地は足元で崩れもせず軋みもしない。マルチェロその人のごとく。寒さに色あせた頬に額に黒髪は流れ、緑の瞳は虚ろ。希望を持たないものには朝もまた夜の続きにすぎぬと賢者なら言ったか。ならば夜を歩むがごとく。マルチェロは朝のはざまを歩いてゆく。
 ――世界の影は、その身うちにあるのであろうか。


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