終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2005年01月20日(木)

 この手からこぼれ落ちてしまうな。頼むから。目を閉じてうなだれるククールの背後を規則正しい足音が過ぎ去っていく。結局のところククールは何一つ望んではいないのだ。その男が生きてどこかにいさえすれば。
 いやそれは嘘だ。ククールは自分が立ちあがりたいことを知っている。追いかけて好きなだけ疑問とも繰言とも非難とも懺悔ともつかぬ言葉をぶつけたいのを知っている。ただそうできないだけだ。怖くて。あまりにも怖くて。
 そうだ、怖いのだ。そのあたりの魔物も人間も一撃で仕留める腕と魔力を持った自分がいったいなにを今更こんなとぼけた男をと思わなくもないが。それにしたってこの男に嫌われることだけを畏れてながいこと生きてきたのだ。仕方がない。
 声をかけて無視されたら、それだけで傷つく。冷ややかな視線を向けられたら。短刀のように手厳しい言葉で打ち払われたら。考えるだけで身がすくむ。そのあたりの乙女じゃあるまいしと自嘲したって怖いものは怖いのだ。仕方がない。
 だけどあんたが足を止めて振りかえってくれたなら。こちらを見てくれたなら。もしかして偶然にも笑みが唇の端に残っていたりしてくれたら。
 ああそれだけで。俺は十年ばかり生きていけるだろう。それだけ。





……いつか進展があるんじゃないかと思っていたが…ムリ…か…


-



 

 

 

 

ndex
past  next

Mail
エンピツ