終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2004年08月21日(土)



スラッガーを憶えているか、と彼は胸の中で尋ねる。
清原を憶えているか、松井を憶えているか。
古い球場の古い打席は答えない。だが彼は問い続ける。
思いきりのいい鋭いスイングで、放物線を描きスタンドに消える打球で。
スラッガーを覚えているかと彼は尋ねる。

打者と投手の対話は長い沈黙の前置きを除くと、一瞬より長くはならない。
語彙は豊かだがつまるところは二つしかない、全か無か。
彼はそれらに習熟している。だから彼は、自分は強いと自負している。
そして打席に入ることを切望する。

スラッガーを憶えているか、と彼は胸の中で尋ねる。
それはつまり、こういうことでもある。
俺を刻みつけよう、おまえが俺を忘れないためにではなく、
俺がおまえをけっして忘れないためにこそ。
さあ、明日へ行こう。どっちにせよ、明日で終わるのだ。


-



 

 

 

 

ndex
past  next

Mail
エンピツ