終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2004年01月22日(木)

蒼白い神の家。4

「何を撮るの」とジンニーアが言った。私はカメラをいじっていた手を休めた。
 私のカメラは二年前の型だがトラブルもなく、衝撃にも強い。まだ使いこなしていない部分もあるが、一つの風景に様々な表情を与えることができる。フィルム式に比べて遠近感や質感は確かに劣るが、性能は十分すぎるほどだ。手にずっしりと重い。
「写真を撮るってどういうことなのかしらね」ジンニーアが言った。
「さあね」私は答えた。「私だって知らないよ、そんなことは」
「でもどう?考えてみない」ジンニーアが言った。私は顔を上げた。ジンニーアは例によって好奇心で目を輝かせている。何が彼女をそそのかすのか私は知らない。
「いいよ。でもどうやって考える? あてずっぽうを聞きたいわけじゃないだろう」
「そうね」ジンニーアが首を傾げた。「これまで何を撮ってきたのかしら?」
 私は考えた。これまで撮ったものが頭を廻る。思いつくままに口にした。
「そうだね……。橋。道。夜――朝。星、と…森。光」
「何か共通点はないかしら。何か、シャッターを押したいと思わせたもの」
「さあね」私は答えた。「私だって知らないよ、そんなことは」
「そんなこともあるでしょう」ジンニーアが言った。「でも考えて」
 私は考えた。考えたが、どうもそちら側からはたどりつかないようだった。
「いいわ、方向を変えましょう」ジンニーアが言った。
「撮ったものはどうしたのかしら? どうするために撮ったの?」
 さあね、と言いかけて私はやめた。そんなことは考えたこともなかった。
「あなたはいったい」ジンニーアが呆れたように頬杖をついた。「なぜ撮るの?」
「それは」私は言った。「――撮りたかったからだよ」


-



 

 

 

 

ndex
past  next

Mail
エンピツ