終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2003年06月25日(水)

指輪@愛進攻中。(雨天決行おやつは三百円まで)

1:
「で、奥方様の正式名はなんだよ」

という疑問を悪友Yから頂いたので、
真面目な話をしてみマス。

ロスロリアンの奥方様の三つの名前について整理してみると、
「アルタニス」=父親がつけた名前。
「ネルウェン」=母親がつけた名前。
「ガラドリエル」=夫ケレボルンが贈った名前。
と、なります。
さて、ここで日本式の姓名や戸籍名についての概念を捨ててください。

指輪物語の世界ではそれほど強調されませんが、ここは魔法の世界です。
魔法の多くは言葉によって織り成され、言葉と文字は魔術の一種です。
こういう世界では本質そのものをさす本名とは別に通り名を持つと考えられます。

例えば、『シルマリルの物語』でフェアノールというエルフが出てきます。
彼はガラドリエルには伯父にあたるノルドール族の王子ですが、
父のつけた名はクルフィンウェであり、フェアノールは母のつけた名です。
しかし自称、他称とも火の精を意味する「フェアノール」で通しており、
「クルフィンウェ」は生誕についての記述以外には基本的には使われません。
例外として、仲の悪い弟フィンゴルフィンが父王フィンウェに対し


「火の精なるその名が体を顕わすことあまりにも真実な、
 われらが兄クルフィンウェの傲慢不遜を抑えるおつもりは
 おありにならないのでしょうか」
              評論社『シルマリルの物語』p133‐p134


と讒言するシーンの記述だけです。ここから、
「クルフィンウェ」=父のつけた名前=本名。
「フェアノール」=母のつけた名前=通り名。
であり、本名は正式な儀式の場合か、でなければ侮辱を含んだ場合にしか
口にされず、普通は通り名の方が使われていたと考えられます。
中国文明における名前と字(あざな)を思い浮かべれば理解できると思います。

さて、本題に戻りましょう。奥方様の正式名はどれか。
上に挙げた根拠により、「アルタニス」ではないかと思われます。
そして西の楽園アマンにいた頃の通り名が「ネルウェン」、
後に中つ国に渡って出会ったケレボルンに「ガラドリエル」の名を贈られてからは
より愛着深いそちらの方を使うことになったのではないでしょうか。

個人的にはネルウェン(男のような乙女)
ものすごく名は体を顕わしていて……
ゲフゴフ、いやもう言いません。


2:
さらに、
「ケレボルン誰?」
という素っぽい疑問も併せていただいたので(男泣き)、こちらにも回答。

『シルマリルの物語』と『Unfinished tales』では違った出自です。
ですがここではより完成度の高いと思われる『シル〜』に拠って見てみましょう。
エルフの歴史にもちこっと触れるので長く(真面目に)なります。

「ケレボルン」の意味は「銀の木」、美しい銀髪のエルフで、
奥方の深い金色の髪とは美しい対であったと『指輪』は語ります。
ケレボルンはシンダール族の王シンゴルの縁者と記載されています。
王族と書かなかったところからすると、末流のようですね。
はっきりいうと奥方よりかなり格下の出自です。
教授ははっきりした系図も書いてくれてません。愛薄いです。
まあしょせんケレだし。

シンダール族はノルドール族などと異なり西の楽園アマンには渡らず、
中つ国のドリアスに独自の王国を作っていました。
王シンゴルの妻はマイアと呼ばれる精霊の一員のメリアンで、
メリアンは王国の周囲に魔法の防壁を敷き、闇の力の侵入を防いでいました。
ケレボルンを含むシンダール族はこの王国で太陽と月の産まれる以前の、
星明りの世界に生きていたのです。

さて、アマンで神々に反乱を起こしたノルドール族が中つ国に渡り、
友好と援助を求めてドリアスのシンダール王国にもやってきました。
ここで始めてケレボルンはガラドリエルに出会い、二人は恋に落ちます。
その後、約七千年にわたり連綿と闇と光の中に続く深い愛のはずなのに、
最初っから尻に敷かれただろうケレボルンとか、
押しきられっつか脅されただろうケレボルンとか、
大事なときは「あんた黙ってなさい」と睨まれて
蚊帳の外だっただろうなあケレボルンとか、
思わないでもありませんが黙っときます。


3:
指輪戦争が終わり、指輪の力が失われたあと、
ガラドリエルの奥方は中つ国を離れ、故郷でもある西のアマンへと船出します。
しかしケレボルンにとって故郷は中つ国であり、その愛着もなお深い。
ケレボルンは奥方の魔力薄れ、しかしその思い出あまりに深い国、
ロスロリアンを離れて「裂け谷」へと向かいます。

ケレボルンはしばしのときをその最後のエルフの郷で過ごしたあと、
奥方のあとを追って、中つ国を離れ、海を渡りました。
そしてケレボルンは西の大海の果て、アマンの岸辺に再び愛する奥方を見出し、
手を取り合ってともに至福の地の美しい野を歩いたことでしょう。
永劫に戻り得ない中つ国への望郷はガラドリエルの手で癒されたでしょう。


でも尻に敷かれてんだろうな。
……映画ではケレボルンはロスロリエンで奥方の手を取って出てきたエルフです。
セリフは「ガンダルフはどこにいる。余はガンダルフと話をしたい」
だけだったと思うね。しょせんケレだから……フフフ



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