終わらざる日々...太郎飴

 

 

- 2003年04月10日(木)

内気で”もっさり”した少女の話をしよう。(私ではない)

1:
彼女は戸惑う。
十歳かそれぐらいの年だ。

彼女はふいに戸惑い、周りを見まわす。それから自分を見る。
いつの間にか腕や足や胸、胴にもったりした脂肪がついている。
脇や下腹に濃い毛が生えている。これはいったい、何だろう?

知識としては知っている。
だが回りの女の子たちは、まだ小柄で、ほっそりとし、
そして子供のままの鋭利な輪郭をしている。
彼女は戸惑う。彼女はも少し子供でいたいと感じている。

彼女は鏡を見る。
花柄のプリントの靴下が似合わない。
かわいくて大好きだったフェリックスのTシャツがきつい。
彼女は自分に言う。私は太ったんだ、それだけだ。
痩せればいい。


2:
さてここで彼女は致命的な間違いを犯した。
彼女は変化を変化とせず、”太った”というマイナスだと決めた。
彼女は自身の原型を、おそらくは八つの少女においた。
彼女はその姿に戻るよう、努力をする。

それでも似合わないのは知っているから、
彼女は巧妙に服を選ぶ。
大人っぽくない――でもこっけいには見えない服。
彼女は髪を整えたりしない。
彼女は八つの子供のように、そのときのままの髪型を保つ。

体は彼女を置いて一人歩きしている。
体からは余計な脂肪が落ち、女性の体になった。
腰はくびれ、胸は突き出し、顎や頬はほっそりとした。
それでも彼女は考える。
こうじゃないはず。


3:
彼女は子供の姿に戻りたいから、
子供のように振舞う。
最も彼女は子供ではないから、
まるきり子供のように振舞えば滑稽に見えるのを知っている。

彼女は戸惑っている。
体は彼女を置いて大人になってしまった。
周囲は彼女を大人として扱う。
彼女はどうにかそれにあわせる。でも彼女は言う。
私は子供だ。
――しかしそれはもう、真実ではない。
回りは彼女を、少し変なヤツだと思う。

彼女は恋もする。
そのひとを見て胸を痛めもする。
だが彼女は子供なのだ。少なくともそのはずだと彼女は信じている。
だから彼女は自分に言い聞かせる。
まだ早すぎるわ。
そして彼女の恋は芽生えた矢先に彼女によって摘み取られる。


4:
そして彼女はどこへ行くのだろう?
彼女は子供に戻れない。
彼女は戻れると思っている。

彼女は…

多分一人で死ぬだろう。
生きたこともなかったようになるだろう。
ある一つの間違いが致命的な場合もある。


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