- 2002年10月02日(水) 黄金や宝石。 1: 学部時代のK教授のアルバムを見たことがある。 非常にダンディーな恩師であった。 きちんと髪を撫でつけ、パリッとした背広姿。 ネクタイはいつもシャレていて、風変わりなものを着こなしていた。 ともかく、そんなK教授のアルバムを見たのである。 えーと。 コレ、誰ですか?(しーん) 2: 髪、のびほーだい。 ヨレヨレのジャンパーの肩はフケだらけ。 シャツ、黄ばんでる。(きゃあ) んー。 私が固まってると、後ろっから先輩K。 「再婚前の写真だよ」と、耳打ちした。 私は、K教授が奥方に先立たれたのだと思った。 それから二年ほど。 E教授が、 「K教授がねえ、退職金が思ったより少なかったってぼやいてたよ。 家のローン払い終われると思ってたのにって」 と、口を滑らせた。 「え、でも、K先生のお年なら、家のローン払い終わってそうなもんですけど」 E教授、ニヤっと笑って声を低めた。 「前の奥さんと別れる時に慰謝料で家とられてるからね。 ローンが残ってるのは二軒目の家だよ」 ……ほーう。 K教授が浮気したのか愛人に走ったのか、 はたまた奥さんに愛想つかされ離婚が先だったのかは知らないが、 家庭崩壊の修羅場をくぐってきていたのか。 人は見かけによらんもんだ……。 3: さて、卒業してから、K教授の退官記念パーチーに呼ばれた。 正式なパーチーであるから、当然K教授は奥方同伴だった。 小柄な、きちんとした感じの人だった。 (予想に反して美人ではなかったが) ふーむ、服装の趣味もよい。 「教授の服がいつもダンディーなのは奥様のお見立てですか」 「いや、私はこれのマネキンでね」 とても、仲がよさそうだった。 とても、幸せそうだった。 空気が和やかだった。 パーチーの終わり、会場戸口で頭を下げて客を見送る奥方は、 「ありがとうございました」と言いながら、泣いてた。 4: 人間の業は、どこまでも尽きない。 人間の幸せも、どこまでも尽きない。 死ぬまでは、生きている。 あーうん。 とりあえず、まあ。 初志貫徹ちっくな子供のハッピーストーリーもいいけれど。 業のはなびらの中を、どこまでもどこまでも、 時に転び苦しみ愚痴こぼしながら生きていくのも、いい。 -
|
|